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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
山守編
993/1586

11-44 顔に出てるのよ


ルイがテイに体を乗っ取られたまま、何も言い残さずに死んだ。殺された。


その魂が山守に戻る事は無い。






「なぜテイは『霧雲山に、強い祝を持つ娘が来る』と思ったのでしょう。」


人の守に問われ、ひとつ守が考え込む。


「霧雲山から出た事が無い私でも、祝の力を持つ人は外に出ない。出される事が無いと知っています。」



祝辺の守は強い祝の力を持つ、霧雲山で生まれ育った子だと決められている。今の人の守は白泉の出、前の人の守は深山みやまの出だ。


五つから八つの間に引き取られ、祝社はふりのやしろの継ぐ子となる。



おにときなら、他から出入りする事も有るでしょう。けれど人の世、それも霧雲山に入ろうと考える祝が居るとは思えません。」



山守社やまもりのやしろより恐れられているのが祝社。


一度ひとたびでも祝社の継ぐ子になればトンデモナイ何かが怒らない限り、霧雲山という名のひとやに繋がれてしまうから。


死んでも出られず逃げられず、鎮森しづめもりから祝社に通う事になるのだ。何が何でも守ろうとする。



「先見の力を持つ守に聞いてみましょう。」


「そうですね。」






ボンヤリとしていたので、夢か何かだと思っていました。・・・・・・そう言われれば、そうだったカモしれません。


私が見てしまったアレは、見えてしまったアレはソレなのでしょうね。私、ドウすれば良いのでしょう。



言いたくアリマセン。


あの影は川亀、野狐、犬。川亀は隠、野狐と犬は妖怪。ナゼか揃って気が荒いし、怖いし恐ろしいもの。



私のカンですがいづれも、社から離れた社憑きだと思います。






「どうだ。見た者は隠さず、名乗り出よ。」


見たような気はしますが、そんな気がするダケなので。


「フゥ。ではスミ、頼む。」


「はい。」


スミって生き物の考えを読める、山背やましろ生まれのスミ? ワタシ、ナニモミテマセン。


「タカ。谷河たにかわで生まれ谷上で育った、先見の力を持つタカ。何を見たか、隠さず伝えなさい。」


ヒョッ。タカは多いケド先見の力を持つ、谷河生まれの谷上育ちのタカは私だけ。


「はい。ハッキリ見たのでは無く、ボンヤリしていたので確かではアリマセン。けれど申し上げます。」






川亀の隠は美味おいしそうで、野狐と犬は妖怪。狐の尾は九つ、犬は狩り犬。守っていた人は子、だと思います。


首飾りでしょうか。赤い何かが見えたような、見えなかったような。



そうそう。亀、狐、犬の他にも何か居ました。人の隠だと思います。


祝の力は感じなかったので、親でしょうか。ん、だとすると? あの子には祝の力が無い、という事に。イヤでも確かに清らな力が・・・・・・。






「タカ!」


「ヒャイ。思い出します、思い出せるように努めます。」


もう、そんな目で見ないで。私とっても気が弱いんだから。えっと、あの感じは。


「ハッ、そうよ。あの赤い何か。アレから清らな力がブワッと出て、あの子を包んでいた。ような気がします。」


「キヨ、読めるか。」


キヨって先読の力を持つ、山郷やまざと生まれの魚好き?


祝社の裏から流れる川で釣った魚を焼いて、骨までバリバリ食べるのが好きな、あのキヨよね。


「やってみます。」


狩り人の村で生まれ育ったのに、肉より魚が好きなんてね。山郷って、山の中に在るんでしょう?


行った事ナイけど。


「ウッウン。」


エッ、何ナニなに。声に出してた?


「声には出てないケド、顔に出てるのよ。」


咳払いしたキヨがタカをキッとにらみ、言い切った。


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