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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
山守編
991/1586

11-42 肝に銘ずる


謀略を巡らせ兄一家を抹殺し、王座を奪った王。


精神崩壊と体調不良により欠勤するのは当然と言えば当然だが、連続欠勤により旱魃かんばつ地への降雨業務が停滞。



王の処刑後、腹心は古参を引き連れ離職。新規採用しようにも、成獣の大半は天獄てんごくと地獄で実施された雷獣実験により死亡。



そもそも雷獣の個体数を激減させた要因、諸悪の根源は先帝が強行した『全世界同化政策』と『雷獣生体実験』にある。


最後まで反対した是王を失脚させるため歖、いや王の側妃に全面協力したのだ。






「困った。」


白龒はくりゅうが頭を抱える。


長江ちょうこう黄河こうがの水量が激減。」


溜息交じりに青龒せいりゅう


五龒ごりゅうで協力し、雨を降らせるしかナイか。」


紅龒こうりゅうが呟く。


「ヤルしか無かろう。」


黒龒こくりゅうもポツリ。


「時間を戻せるなら戻したい。」


応龒おうりゅうが力なく笑う。






是王が少数精鋭を貫けたのは行動力と獣望が有り、実績や能力に応じた報酬を用意したから。


定年後には老齢年金、殉職獣の家族には特別年金を支給。現役の待遇改善にも積極的に取り組み、幼獣の出生率増加にも貢献。



働きに応じた報酬が支給されるのだ。アチコチから優秀な雷獣が集まり、死と隣り合わせの危険な仕事にもかかわらず人気職となった。


それが今や雷獣不足。いや資金不足により必要獣員が集まらず、業務に支障をきたしている。






「紅白大蛇さま・・・・・・。」


青龒、紅龒、黒龒が同時に手を合わせ、祈り始めた。


「御名を『大蛇神おろちのかみ』と改め為さったと聞く。」


「白龒。ながれには断られてたが、地獄で奇跡を起こされた悪取神あとりのかみに御願い申し上げれば。」


「応龒よ、無茶を言うでナイ。流は使わしめだが、悪取神は国つ神。神で在らせられるぞ。」






全ての争いをいとわれ、極東に御籠り遊ばした水神は今、何を御考えなのだろう。


広大な大地に多くの湖を出現させ、数多あまたの生物を救った水神界の重鎮。彼の地から遠く離れても変わらず、潤いと恵みを与え続ける慈悲深い神は御戻り遊ばさない。


理想郷を見つけ最愛と出会い、やまとに骨を埋める覚悟を御決め遊ばされた。






「大陸西部、アンリエヌだったか。」


「あぁ。はじまりの一族が建国し、人を飼っているとか何とか。」


「いや、ソレは昔話。大王から王座を奪った化け王が統治し、ローマより栄えていると聞く。」


「我も聞いた。同族から全特殊能力を収集した化け王が、王族の生き残りを王城地下に幽閉したと。」


「その化け王。やまと中つ国、霧雲山を気に掛けているそうな。」






五龒は知らない。


『はじまりの一族』である化け王が不老不死で、その気になれば惑星をも滅ぼす力を有している事。


『はじまりの隠神』より先に、『はじまり一族』が現れた事も。






「天獄と地獄の中国妖怪は、死んでも手を出さん。」


「が、他のは狙うだろう。」


「アンリエヌと霧雲山に手を出さぬよう、見張らねば。」


「あぁ。仮に人が手を出しても天獄、地獄とも連帯責任を取らされる。」


「で、滅亡か。」




全く笑えないが五龒はソレをきもめいじ、雨を降らせに旱魃地へ飛び去った。

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