11-40 まぁだカナ
短い間にイロイロあったニャア。
にしてもナゼ中国妖怪は、やまとに仕掛けようと考えたのだろう。大陸でも畏怖されている、あの紅白大蛇の聖域を荒らすか? アタイだって居るのに。
・・・・・・どう考えても理解不能。
太古より水を司る、はじまりの隠神は戦嫌い。
安住の地を求めて東へ東へ。牙の滝を御気に召し、ウッカリ神格化。そんな水神の愛し子が暮らすは中の東国、霧雲山の統べる地。
・・・・・・やっぱり解らニャい。
まぁ良い。悪取神の御力により浄化された雷獣は、一家揃って流転待ち。
輪廻転生しても夫婦、親子になると良いナ。
「どうしよう稻羽。足が生えている白い蛇がアッあっ、悪取神に御会いしたいって。」
「はい。」
「『はい』じゃナイよ。」
「大国主神、落着き為さいませ。」
使わしめに宥められ、プッシュゥ。御頭から白い煙がモクモク。
悪取神は明里王で、国つ神でも在らせられる。
元は御犬社の祝で闇堕ちし、悪いモノを奪う『悪取の力』を得なさった。加えて『滅びの力』を御犬様より、『獣の力』を隠犬さまより賜った隠神。
隠の世が開いても人の世に留まり為さり、他では生き難い人や合いの子を明里の地に受け入れて御出でだ。
明里は隠の国、瓢は妖怪の町。
・・・・・・末永くヨロシクね。ソウじゃ無くて、いやソウなんだけどソウじゃナイんだ今は!
「落ち着かれましたか?」
「ウム。」
「足が生えている蛇は大陸の神で、御名を龒。大海原や地の底で暮らし、雨雲を統べる力を御持ちだとか。」
「ホウ。」
「白い龒は天帝の使いと昔、蒜山で教わりました。」
因幡山の治めの隠で在らせられる兎神は稻羽の実父。つまり稻羽は、隠の世で生まれ育った隠なのデス。
因幡の隣は伯耆。蒜山の治めの隠で在らせられる鯉神は、蛇神の次に隠神に御為り遊ばした長老。
幼獣の時からヤンチャだった稻羽を、とても可愛がってくださいました。
隠の世から人の世に出た稻羽は八上比売の社に縁故就職。
世は違えど因幡は因幡、止せば良いのに大はしゃぎ。出雲神話として今も語り継がれる、あの御話で有名兎に。
縁あって出雲、杵築大社に就職。大国主神の使わしめとして、真面目に働いて居ります。
「天帝、というコトは。」
「はい。『闇堕ちした雷獣を救えるなら』と御力を振るわれた悪取神に、御礼の言の葉を述べられるために御越し遊ばしたのかと。」
大陸の天獄から離れられない天帝に代わり、やまとへ。
イキナリ明里へ伺うのは如何なモノかと、先ずは大社を訪れました。御用が済んだら観光しようカナ。なんてコトを考えながら、控えの間で待機中。
まぁだカナ。
因みに大陸で白子は神聖な生き物と考えられ、突き殺されたり乱暴に扱われる事はアリマセン。
白子は目の色素も欠けるので、網膜などの血液の色を反映して、瞳孔が赤くなります。伝承などで特別視される白牛、白蛇、白狐も白子ですヨ。
「お待たせしました。どうぞ、こちらへ。」
「ハイ、アリガトウゴザイマス。」
白龒も良く人語を話し、万物の情に通じる半神。片言なのは御愛嬌。
悪取神の使わしめ、明が人語を操れるのは『獣の力』の影響。白子だからじゃナイよ!