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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
山守編
987/1587

11-38 何をブツブツ・・・・・・と


根の国ならイザ知らず、大陸の地獄へ祝を派遣するなど有り得ない。派遣するなら妖怪の祝。



中の東国ひがしくに。大貝山の統べる地にある腰麻こしまのユキは妖怪の祝だが、持っているのは闇の力と癒しの力。清めの力は無い。


おにときにある郡山こおりやま、猫神に御使えするミツは元、祝。光は失ったが清めの力は残っている。が、妖怪ではなく隠。






「気乗りしニャイが、仕方ない。」


白澤はくたくを追い出し、コホン。見送ったながれが溜息交じりに呟き、重い腰を上げた。


目的地は霧雲山、祝辺はふりべ


「一隠くらい戻らなくても、何とかナルだろう。」


イッパイ居るからネ。って、エッ。






祝辺の守は人の守はモチロン、隠の守でも霧雲山の統べる地から出る事は無い。


人の世でも隠の世でも、中つ国から出るとすれば根の国。伊弉冉社いざなみのやしろへ御伺いする時か、根の国からしか入れない神倉ほくらへ行く時くらい。



祝辺の隠の守は死んでも力を失わないので、清めの力を持つ祝がワンサと居る。


人の守、ひとつ守、ふたつ守、みつ守も出せないが、他なら何とか・・・・・・なるのだろうか。






「はニャ。」


流がパチクリし、コテンと首をかしげた。


「清めの力を持つモノを持って行けば良いのでは?」


祝を連れて行かなくても、強い清めの力を持つ人や妖怪、隠が作るか生み出した物ならイケル!



大貝神の使わしめ、土の糸でグルグル巻く。良村よいむらの子が作る、赤い石が入った守り袋を当てる。悪取神あとりのかみに悪取の力をつむいでいただく、という手も。



「うん、御頼みしよう。そうしよう。」


神成かみなり山名物『鮭の燻製』を持って、お出掛け。目的地は明里あかり悪取社あとりのやしろ






イライラ、イライラ、イィライラ。


「雷獣王、如何なさいました。」


兄を生贄いけにえに、兄嫁とおいを見殺しにして得た王位。歓喜に酔いれていたのは数日。


「何でも無い。」


王座で苛立つは報復を恐れていた。


兄一家は現在、大陸地獄に幽閉されている。調査が進み、アレコレ明らかになれば困った事になるだろう。


獣望が無い事、王のうつわでは無い事もおのが一番よく知っている。


「裁きはドウなっている。」


天帝は天獄てんごくでは無く、地獄で裁かれている。


それが何を意味するのか、上級以上の妖怪なら知っているハズ。王が公開処刑されたのは天獄、中央広場。集められたのは中級以上。


「クソッ。」


ナゼあの場に白澤が居た。加えて鳳凰ほうおう麒麟きりん応龒おうりゅう霊亀れいきまで。


「・・・・・・マズイな。」


捏造ねつぞうした冤罪の数数、その大半に関与しているのだ。明らかになれば間違い無く、この首が飛ぶ。






ブツブツ、ブツブツブツ。


「何をブツブツ・・・・・・と。」


賢王として歴史に名を遺す、王の側妃が固まった。


「坊や?」


イイ年した雷獣に『坊や』はナイでしょう。


「そのまだら、どうしたの!」


タッと歖に近づき、右の前足でソッと触れた。


溺愛する我が子の体、そのアチコチに円形や楕円形の脱毛斑があるのだ。発赤ほっせき腫張しゅちょうまで認められる。


「大丈夫よ、この母が付いています。」


円形脱毛症の原因は不明だが、少なくとも伝染性の疾患では無い。自律神経や内分泌の障害、自己免疫などが考えられている。


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