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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
山守編
985/1586

11-36 頼みの綱

※ お願い ※


前漢に包子が有ったかドウか分かりませんが、この話は古代ファンタジーです。ご了承ください。



杵築大社きづきのおおやしろにフラリと、背と横腹に左右八つの目があり、人語を話す妖怪が現れました。はい、あの御方です。




「ハジメマシテ。ワタシ、ハクタク。」


中国妖怪のドン、来日。


「コレ包子ぱおず。オイシイヨ、タベテ。」



包子は肉やあんなどを入れた饅頭まんじゅうで、中華饅頭とも言います。


点心てんしんの一種で肉餡を入れたモノは肉包子、小豆餡を入れたモノは荳沙とーさー包子。餡を入れないモノを饅頭まんとうと呼ぶそうデス。



「これは良い品を。ありがとうございます。」


ポカンとしていた稻羽いなば、お口を閉じてニコリ。


「ドウイタシマシテ。」


さすが良く人語を話し、万物の情に通じる神獣。語学堪能でいらっしゃる。






モチロン、突然の来社には理由が御座います。


先触れなく神成山かみなりやま渦風社うずかぜのやしろを尋ねると排泄物扱い。コホン、激流に呑まれてしまうでしょう。


そうなる前に何とかシタカッタのですが、残念ながらひょうの民と面識がアリマセン。



白澤は神獣。特級妖怪だったぬらりでも、遠目にチラッと御見掛けする程度。


麒麟きりん鳳凰ほうおうなど、瑞祥ずいしょうズは天獄てんごくでも地獄でも大人気。チラ見したダケで良い事が起こりそう♪ なんてコトを考える妖怪が多いのです。



話を戻しましょう。やまとに知り合いがイナイ白澤は、大国主神おおくぬしのかみを頼みの綱とするコトにしました。


中つ国、国つ神のトップですもの。笑顔で仲立ちしてくださるハズと胸を躍らせ、包子を蒸しましたヨ。


保存料を使用してイナイので、本日中にお召し上がりください。






「・・・・・ニャァ。」


大社(おおやしろから連絡を受けたながれ、思わず溜息。


「流、会いたくナイなら流そうか。」


渦風神うずかぜのかみがサラリと、オソロシイ事をおっしゃった。


「いいえ、会います。」






明里あかりに落ちたのが雷獣王妃、加津に落ちたのが雷獣王子。雷獣王は妻子の死を聞かされてから公開処刑。


エゲツナイ事を考え、実行に移した天帝は呪い殺された。で、一家は仲良く地獄行き。


無罪では無いけど情状酌量の余地、大いに有ると思うよ。地獄裁判で訴えて。



ソレは扨置さておき、何しに来た? 白澤。


ケンカ売りに来たなら買わニャいよ。喧嘩けんかってのはね、『ここぞ』という時に売るもんさ。ニャッニャッニャッ。






「流、いつ見てもキレイだね。ドキドキしちゃうよ。」


・・・・・・。


「はい、どうぞ。僕が心を込めて作った包子です。毒なんて入ってナイよ、安心して。」


アヤシイ。


「そんな目で見ないで、照れちゃう。」


「ニャにしに来た。」


「小耳に挟んだんだけど、やまとには強い浄化能力を生まれ持つ人が居るんだってね。」


「ソレがドウした。・・・・・・ニャッ!」


神獣が頭を下げるなんて、天変地異の前触れか?


「雷獣一家、浄化できるなら浄化してください。お願いします。」



大陸の地獄なんて行ったコト無いが、現世に悪業あくごうをなした者がその報いとして、死後に苦果くかを受ける所だと聞いている。


何でも贍部洲せんぶしゅうの地下にあって、鬼類が罪人を呵責かしゃくするトカ何とか。



「雷獣は妖怪だけど死後裁判、受けられるんじゃ。」


「逆賊扱いされ、幽閉されている。」


「・・・・・・地獄へ行って戻れるのに心当たりがある。けどね、難しいと思うよ。」


「頼むだけ頼んでもらえないだろうか。」


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