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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
山守編
983/1585

11-34 裏切るも何も


「何だと!」


去島さるしま自凝おのころもダメ。他にも人が居ない島はあるが、ポツンと浮かぶかキッチリ守られていて使えない。


だから滅ぼされ、誰も居ない旧松田領を狙ったのに。


「まさか。」


情報が古いのか?


耶万やまとやらに滅ぼされたうね、大野、光江だったか。その生き残りを拷問して聞きだしたのだ。アレらがかばう理由など無い。


「建国された?」


特級妖怪だったとはいえ、あのくずに出来た事。化け猫と同様か、アレより強い妖怪が旧松田領に定住したとすれば。


ぬらりめ、裏切ったな。」






裏切るも何もひょうの民は朝から晩まで酷使され、心身を壊されポイ捨てされた妖怪ばかり。


『主君への忠義』だの『誠忠』だの『忠孝の道』だの、海を渡る前に纏めて投棄している。



郷里の土を踏む事など無い。骨の一つも戻れないが死ぬ瞬間まで、『異なる国の民』として生きる。


それが国を捨て、異国で生きる妖怪に残された道。






「ブエックション、ヘクション。・・・・・・悪口を言われた気がする。」


ズルル。


「滑さま、お休みください。」


「ありがとう、むね。」






猫又のながれ。私でも知っている猫の大妖怪が、国つ神に御使えしていたとは思わなんだ。にしてもククク。


つわものの大半を失い、建造物はボロボロ。賠償金をゴッソリ取られ、再起不能。にもかかわらず増税を繰り返し、犯罪率と失業率が増加。


民衆の不満が爆発し、アチコチで武装した大衆が実力行使。



この国は良い。


行動範囲が規制され、委託される業務はアレだが苛政無し。



猫神の目が光っている地で上手うまく生きられるか心配だったが、我ら瓢の民に与えらえた土地は豊かだ。水も空気も美味おいしく、日当たり良好。作物も家畜も良く育つ。


納めるモノを納めて義務を果たせばノビノビ楽しく生きられる。



あぁ、なんて幸せなんだ。妖怪に生まれて良かった。






「滑さま?」


何に祈りを捧げてらっしゃるのでしょうか。


「鯰。これからも兎と猫に感謝して、誠実に生きてゆこう。」


「はい。」


兎は稻羽いなばさま。で猫は・・・・・・猫神?


瓢の町があるのは人のときの外れだが郡山こおりやま。あちら側を治める隠神おにがみは猫神で在らせられる。が、猫は猫でも猫違い。


そんな気がする。



「滑さま、タイヘンです。」


「そんなに慌てて何事だ、げん。」


「ヤツら雷獣王を幽閉し、王妃を中の東国ひがしくにに向かわせました。下りたのは人の世にあるおにの国、明里あかり。王妃の後を追った王子が加津に落ちて捕らえられ、明里で処刑されたそうです。」


「ナニッ!」


滑、クワッ。直ぐにストンと腰掛け、深呼吸。


「で雷獣王、王は。」


天獄てんごくにて先ほど。天命だそうです。」


「天帝の御意思だと?」


「そ、の、ようです。」


ガックリする竜を慰めるように、鯰が黙って背をさする。


「荒れるでしょうね。」


鯰が呟いた。






処刑された雷獣王は嫡男、それも正妃腹。側妃腹である次男は野心満満やしんまんまんで王のうつわでは無い。


アレが即位すれば傀儡かいらいとなり、地上にわざわいもたらすだろう。



にしてもナゼ天帝は、いや違う。


御し易い次男を王に据えるため、王妃と王子を処分させてから王を処刑。やまとに仕掛けるオツモリなのだ。


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