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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
山守編
979/1585

11-30 御猫さまは執念深い


迷惑な話ですが、『仮想敵』認定されてしまいました。


天獄てんごくおよび地獄では徹底した反倭はんわ教育が施され、軍の再編に訓練強化。加えて増税増税、大増税。


天獄でも地獄でも上がりに上がった税金を払えず、妖怪による犯罪が地上で増加。地上は地上で戦争ばかり。



夏だいんだ西周だ。東周、春秋戦国時代が終わったら泰。前漢に入っても戦争、戦争また戦争。何回、滅亡してるんだ?


まぁ黄河文明までさかのぼりますから、当然といえば当然なのでしょう。けれど戦争を呪う詩、多過ぎませんか。



漢代の詩で重要な位置を占める『古楽府こがふ』の中にも残されています。


もともと楽府とは音楽の役所という意味で、この役所で集められた歌を後に楽府と呼ぶようになったトカ。楽譜の方は滅んで、歌詞だけが残されています。


専門外なので詳しくは知りませんが知る限り、強烈ですよ。






「来るな、近寄るなぁぁ。」


ガリッガリに瘦せ細り、歩けなくなった天獄の高級役人たち。寝台に横たわり、何かを払うような動作を繰り返す。


その目はにごり、何も見えないハズなのに。


「ギャァァ。」


骨が浮き出て、今にもポキンと折れそうな地獄の高級役人たち。ギョロギョロした目で辺りを見回す。


何もない空間に怯え、ガタガタ震える様は異様としか言いようがない。






大陸の天獄と地獄で起きている、奇妙な症状。


発症時期と場所は異なるが、いづれも軍部に所属する妖怪。『倭漢講和条約』を改正するのではナク、破棄しようとアレコレ遣らかした悪者である。






「呪いだ。猫又の呪いだ!」


ナニ言ってんの、大丈夫?



猫又は尾が二つに分かれ、人を害するといわれる怪獣。ちなみにながれは天寿をまっとうする前に人になぶられ、生涯を終えると同時に妖怪化した猫の大妖怪。


ソレは扨置さておき、『倭漢講和条約』の控えを熟読しましょう。



ハンムラビ法典の一部が記された巻物に『未来永劫、やまとにいくさを仕掛けない』『講和に関する取り決めを破れば即、神の呪いと懲罰が与えられる』といった文言が、バッチリ明記されてマス。


戦争準備をした時点で呪いが発動、制裁を加えられるオッソロシイ代物だモン。逃げられません、死ぬまでは。



「猫を殺せば七代祟る。」


御猫さまは執念深い。って、あれ? 流は猫又だけど生きてるよ。勝手に殺さないで。


仏の慈悲に縋るより他、ナイとでも言うのか。」


仏様でも難しいでしょう。だって『目には目を、歯には歯を』のハンムラビ法典だよ。






「御布施を、御布施を包むのだ。」


地獄の沙汰も金次第?


「三施、全てをぉぉ。」



三施とは仏教用語で三種の布施。財施ざいせ法施ほうせ無畏施むいせを表します。


財施は衣類・飲食・田宅・珍宝などを他に施す事。法施とは他人に仏法を説き聞かせる事。無畏施とは一切の衆生しゅじょう、生きとし生けるものに畏怖の念が無いようにさせる事。



「いや六波羅蜜ろくはらみつをぉぉ。」



六波羅蜜とは仏教用語で、菩薩が修する六種の基本的な修行項目の事。布施・持戒・忍辱にんにく・精進・禅定ぜんじょう智慧ちえを表します。



「いや十波羅蜜じっぱらみつをぉぉ。」



十波羅蜜とは仏教用語で、菩薩の十種の修行の事。六波羅蜜に方便・願・力・智の四波羅蜜を加えたものデス。






「ニャッニャッニャッ。」


金塊を乗せた大船が一隻、二隻、三隻、・・・・・・中略・・・・・・、八十八隻、八十九隻、九十隻。


「十隻、足りニャイ。」


一割、杵築大社きづきのおおやしろに納めたからネ。


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