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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
山守編
974/1585

11-25 猫又の遠吠え


去島さるしま自凝おのころに繋がれた雷獣を引き裂いて、大陸の妖怪がドドッと攻めてきた。その知らせはアッと言う間に広まり、アチコチでイロイロはじまった。


海でもネ。






「かかれぇ。」


「わぁい。」



大陸の舟が引っ繰り返され、乗っていた妖怪がバシャバシャ海に落とされた。ワニ和邇パニック、スタート♪


アッチでもパクッ、コッチでもパクッ。パクパクパクン、美味おいしいナ。



ワニはワニでもワニ違い。


関西以西ではさめをフカ、山陰ではワニと呼びますが、パクパクするのは和邇さんズ。やまとにわにはイマセンよ。



「×△※!」


「〇◇×!」




大陸の言葉なので、何を言っているのかサッパリわかりません。助けを求めたり罵っている、のかな。叫んでいるのは確かデス。



おやおや。気合と根性で泳ぎ続け、おかに上がろうとする妖怪が居ます。が尾鰭おびれフリフリ、バシャァン。浦に乗り上げるようにしてパクン。


波に身を任せ、スゥっと海へ戻りました。






・・・・・・報告は、なぜ連絡が途絶えた。


先遣隊も、投げ込んだ雷獣も戻らない。開いたハズの道は閉ざされ、改新しても開かない。やまとで何が起きている。


派兵したのは皆、精鋭。最新鋭の船に乗せ、武器も防具も十分持たせたのに。


「まさか。」


ぬらりが率いて亡命したと聞いた時には驚いたが、アレらは使い道の無い落伍者。最初から期待してイナイ。


が仮にアレらが裏切ったのなら、大量殺戮計画に気付いたならドウだ。


「報告します。天獄てんごく第一部隊、全滅。第三部隊による雷獣投下、失敗。」


「ナニィ! 夷狄いてきに敗れたとでも言うのか。」


はい、惨敗です。全面降伏してクダサイ。


「道から外れた禽獣きんじゅうに等しいに、蛮夷ばんいに敗れるなど許されぬ!」


「しかし」


「黙れ! 異民族は全て中国の天子の徳に感化され、臣下となるべきモノ。国境など認めぬ。殺せ! 夷狄など皆、殺せ!」






中華思想。


漢民族が古くから持ち続けた、自民族中心の思想。華夷思想とも言う。


漢民族が黄河中流に文明を起こして以来、常に周辺諸民族に対して優越した立場を保持していた。結果、自らを中華と美称し、異民族を夷狄や蛮夷と呼んで卑しむ事となる。



漢民族の優位が確率している間は寛容で開放的な、博愛主義となって現れる。けれど一度、優位が否定されれば極めて偏狭な保守排外主義の傾向を示す。



初めは周囲の遊牧文化に対して、自己の農耕文化の優越を示していた。


ソレも迷惑な話だが、春秋戦国時代以降は礼教文化による、天子を頂点とする国家体制を最上のモノと考えるように。


つまり夷を外道、禽獣に等しいモノとして扱うようになったのだ。






「ホウ。だそのような事を言うて居るのか。」


渦風神うずかぜのかみの使わしめながれ颯爽さっそうと登場。


「獣の分際でっ」


指揮官の首がシュパンと飛びました。







流はリビアで生まれ、エジプトで死んだ猫又の大妖怪。


見聞けんぶんを広めようとメソポタミア、ペルシア、インドと西へ西へ移動。中国で大暴れし、ふだ付きとなった。



やまと国内では殺生禁止だがココは外国、ヤンチャし放題。人でも妖怪でも神でも何でもサクサク処分。ニャッニャッニャッ。


家なら引っ越せるけど、国は引っ越せないからね。古巣ふるすを手入れしに来ました。



肩慣らし終了、法螺貝ほらがいを吹き鳴らせ。ニャオォン!


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