表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
山守編
973/1585

11-24 空から降ってきたのは


中の西国にしくにには穴門あなとの統べる地、磐現いわみの統べる地、出雲いづもの統べる地、伯耆ほうきの統べる地、因幡いなばの統べる地、周坡すはの統べる地、安蓺あきの統べる地、吉備きびの統べる地がある。






おさあねさん。舟が、舟が空からドンと飛び出ましたぁ。」


穴門社あなとのやしろのヤンチャ系 和邇わにが群れの長、黒白くしろの元へ叫びながらビュゥン。器用に鰭を動かし速度を落とすと、円錐形の頭を下げてキュルン。


穴門社の使い和邇は妖怪が三割、(おにが七割。穴門神あなとのかみの使わしめである黒白を群れのかしら、黒白の妻であるほこを女頭と認め慕っている。


「それって、大陸おおおかの。」


黒白の隣で、戟が呟く。


「ソウだろうな。」






中の西国のうち穴門、磐現、出雲、伯耆、因幡、周坡は統べる地をくまなく調べ終えた。安蓺と吉備は統べる地が広いので、まだ調べ終えてナイ。



しづめの西国はいくさ、戦で闇だらけ。山の奥は清らなので、コツコツ清めようと前向きに考えている。



真中まなか七国ななくにも戦、戦でギットギト。山の奥まで闇が広がり、御岳神みたけのかみが荒ぶられた。


急ぎ兎の妖怪である使わしめ、もりが助っを集めて大祓おおはらえ。神に清めていただく。その繰り返しにより皆、ゲッソリ。






「で、どちらへ向かった。」


白黒に問われた使い和邇、キリッ。


響灘ひびきなだの上からドンと出て、そのまま镾灘いよなだへ。アレは大陸の舟です。」


前鰭まえひれでビシッと示した。


「戟、周坡へ。よしみさまへ伝えておくれ。私は社へ。」


愛妻に優しく微笑むと、スッと消えた。


「周坡に行ってくる。戻るまで、頼むよ。」


「ハイ、姐さん。」






大陸の舟が空から飛び出て、周坡へ向かった? 引き裂かれた雷獣から出るのでは無かったのか。いや、もし天獄てんごくとやらから出たのなら・・・・・・。


「黒白。これから大社おおやしろへ参り、御伝えしてくる。美古富山みことやま神議かむはかりをするから、要る物を調え、備えておいておくれ。」


「はい。」


穴門神が出雲へ向かわれて直ぐ、黒白はセッセと会議の準備を始めた。






美古富山は伯耆、出雲、磐現、安蓺、吉備にまたがる連なった山で、それぞれの山には違う名がある。


御山すべてを示す名、といえば御解りいただけるだろうか。



八柱でつどいましてはかられるのは、御山のいただきが輝く夜。崖や岩のほら大木おおきの洞など、そのたびごとに変わるので、社を通らなければ辿り着けない。






「ごめんください。穴門の使い和邇、戟で御座います。」



镾灘は周坡の統べる地にある。


穴門社も周坡社すはのやしろも山の上にあるが、使わしめは和邇。おかより海で過ごす時が長いので、海の中に詰所が造られた。



ちなみに穴門神の使わしめ、黒白は和邇の妖怪。使い和邇の三割が妖怪、七割がおに


周坡神すはのかみの使わしめ、好は和邇の隠。周坡の使い和邇の二割が妖怪、八割が隠である。



「お待たせしました、戟さま。どうぞ、こちらへ。」


好に案内され、詰所の奥へスイスイ。






トンデモナイの、キタァ!


「えっ、空から。」


女の子ではなく、妖怪が乗った舟が落ちてきました。フワッじゃナイよ、ドシンだよ。


「はい。ウチの若いのが見ました。」


戟の話を聞いた好がパチクリ。そりゃ驚くよねぇ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ