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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
山守編
970/1585

11-21 導火線が短いダ・ケ


人のとき


霧雲山の統べる地には底なしの湖、魂迎湖たまむかえのみずうみ魂呼湖たまよびのみずうみなどの大きな湖。乱れ川や暴れ川などの大きな川。牙の滝や渦の滝などの大きな滝がアチコチにある。



霧雲山や天霧山、魂喰山たまくらいのやまなど、高くて大きな山も多い。中でも霧雲山は水が豊かで山守、鎮野しづめの、大泉の谷には山桃湖。山守、大泉、平良ひらの谷には山桜湖。


山桃湖から白滝、山桜湖から大滝。白滝湖と大滝湖からドドドと流れ、アチコチへ水を運んでいる。



霧雲山の統べる地から噴き出す水を合わせれば、におの海より多いカモ。なんて話がチラホラ聞こえるホド、水が多い地なのだ。


霧雲山の統べる地の、人のおさは人の守。霧雲山の統べる神は山守神やまもりのかみで在らせられるが、霧雲山を守るのはおにの守。手強てごわいゾ。






神成かみなり山の統べる地には渦風神うずかぜのかみ。使わしめながれは、大陸おおおかで大暴れした猫の妖怪。越道山の統べる地には高志神こしのかみ。使わしめつえは、翼を持つ幼子おさなごの姿をした妖怪。具志古ぐしこの統べる地には具志古神ぐしこのかみ。使わしめヒュウは草蛇の隠だがさめのような歯を隠し持ち、妖怪をバリバリ食らって清める力を持つ。」


流も杖もヒュウも、見た目はカワイイのよ。導火線が短いダ・ケ。


「大貝山の統べる地には大貝神おおかいのかみ、使わしめ土は地蜘蛛の妖怪。とはいえ、代替わり為さったばかり。幼い神を御守りする事を他より先にするだろう。」


大貝山に行くには大磯川を上がるしかナイが、千砂社ちさのやしろ吹出社ふきでのやしろ風見社かぜみのやしろが目を光らせている。


千砂ちさには加津、会岐あき、大石、腰麻こしま耶万やま。吹出山には加津、風見かぜみには早稲わさとの付き合いがあるので、社を通して直ぐ動く。


大国主神おおくにぬしのかみ。大陸の妖怪は『光江に近づけば闇の種を植えられる』と知っていたから、松田を狙ったのでしょう。けれど、ならナゼ松田の縄張りに隠の国、明里あかりが建てられた事を知らぬのでしょう。」


稻羽いなばも、そう思うか。」


「はい。」






松田にアレコレ持ち込み、いくさに備えようと考えた。


松田には泉があり、川も流れている。元は大国おおくに。山に入れば木の実やキノコが採れるし、狩りだって出来る。


食べ物を多く持ち込まなくても生きられる、長く留まるには良い地だ。



少し考えれば分かるだろう。そんな地を人が、ずっと放っておかぬと。


浦辺の沖に舟が出ていた。松田の沖には何も無いから誰も居らぬ? イヤイヤ、あの地には悪しい人が隠れ住んでいる事は知っていた。


『何となく』でも知っていたハズだ。なのにナゼ。






真中まなか七国ななくに保国たもつくにに入ったのは。」


早貝さかいからで御座います。」


モフンッ。


勢多川せたがわをズズッと上がれば、鳰の海に入るからなぁ。」


とはいえ、漕ぐのはタイヘン。


笠国かさのくに弓良川ゆらがわから入らなんだのはナゼでしょう。」



真中の七国の真中、御嶽みたけから海まで流れる弓良川は傾きが緩く、川底が深いため舟が多く通る。


御嶽から鳰の海は離れているが、そんなに遠くない。



多紀神たきのかみの御力を恐れたか。」


多紀神は争いを酷く嫌われるのに、争いの絶えない地に御坐おわす山神で在らせられる。


御嶽みたけに許し無く入れば人でも隠でも妖怪でも、ストンと谷底へ落とし為さる事で名高い。


「・・・・・・大陸まで、とどろいているのでしょうか。」


稻羽に問われ、パチクリ為さる。


「どう、なのだろう。」


ボソッとおっしゃり、深く御考え遊ばす。






「そんニャ事、今はドウでもよろしい!」


渦風神の使わしめ流、ババンと参上。


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