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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
山守編
964/1585

11-15 ようこそ明里へ


おにときが開くまでの間、人の世に建てる事を許された隠の国。


隠と人、人と妖怪の合いの子が暮らす明里あかりは特別。というより悪取神あとりのかみの御力が凄すぎてコワイ。



人の頃から『滅びの力』を使いこなし、隠となって『獣の力』まで受け継いだ。


それダケでも凄いのに『悪取の力』まで使い熟すバケモノ、じゃなくて隠神で在らせられる元、御犬社おいぬのやしろの祝。


うつわが違うんだろうなぁ。



『悪取の力』には悪しきモノを奪う力と、悪しいモノを消して無くす力がある。隠神にしか扱えぬ特殊能力は諸刃のつるぎわずかでも隙を見せれば闇堕ちする。


隠は何があっても隠だが、世界が大混乱するだろう。






渦風神うずかぜのかみ。明里へ行く事、御許しください。」


キュルン。


「嫌だ。」


プイッ。


「お願いします。」


なかを見せるようにクネッ。ごろニャぁん♪






挑発的なポーズで神を悩殺する使わしめ。巧みな手捌てさばきで愛撫し、使わしめをトロットロにとろけさせ為さる国つ神。


どうしよう、十八禁だ。



詳しくは書けません。けれど社の奥から響く、甘いあえぎ声・・・・・・。


おぼれてしまわぬよう必死なのでしょう。『お嫁に行けニャイ』とか『もう耐えられニャイ』とか、イロイロ漏れ聞こえてきます。



日が暮れ、夜のとばりが下りました。月が微笑み星が輝き、夜が明けてもみません。さすが猫又、体力あるなぁ。






「では、行って参ります。」


昼過ぎ、使わしめ流。若干フラフラしながら御挨拶。


「気を付けて。」


渦風神。ニャンコを心ゆくまで御モフり遊ばし、ツヤッツヤ。


「はい。」


神成かみなり山に在る渦風社うずかぜのやしろから、明里に在る悪取社あとりのやしろへ。






悪取社は壊された御犬社を、人の手により積み直され建てられた社。御隠れ遊ばした御犬様おいぬさま隠犬おにいぬさまも、やまいぬの隠で在らせられた。


悪取神の使わしめ、あけみも犲の隠。



家族単位で行動する犲は、山中にある洞穴ほらあなで生活する。悪取神は人の隠。加えて元、御犬社の祝。アレコレ為さらず、そのまま保って御出でだ。


つまり悪取社は大きくて暗いケド、風通しの良いワンコ好みの社です。



モチロン丁寧に御使いですヨ。社の横に生えている、ははそほらで御過ごし遊ばす事が多いけどネ。






「ごめんください。」


渦風神の使わしめ、流。慌てず騒がす、キチンと座って御声掛け。


「はい、ようこそ明里へ。」


悪取神の使わしめ明。シュタッと現れ、ニコリ。






明里は北に白い森、南に海。東に大磯川、西に椎の川が流れる広大な領地を持つ大国おおくに。その中央に位置するのが首都、明里。


住民の多くは隠で、人は海望うもち究玉さたまなどで暮らしている。



隠の世が閉ざされている間、人の世では暮らせない合いの子や人を積極的に受け入れた。


隠の世は開いたが『子と共に、明里で暮らしたい』と移住を希望する親子が社に殺到。松田に滅ぼされた里や村など、人が暮らす場所には困らないので、セッセと手を入れてマス。






「お久しぶりです、流さま。」


浦辺から急ぎ駆け付けたので、移住希望者と間違えました。テヘッ。


「お久しぶりです、明さま。」


ニコッ。


「大陸の妖怪が乗って来た舟やアレコレ、すべて松裏まつうらに御座います。私の背に御乗りください。」


「はい。ありがとうございます。」


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