表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
山守編
962/1587

11-13 大事です


大陸おおおかの言の葉など分からん。


ひょうたみが大陸のドコから来たのか、どのように暮らしていたのか。なぜ国を捨て親を捨て、やまとにドッと逃げ込んだのかも。






「大陸のつわものに生き別れた親、兄や弟が居ても戦えるのか。見知った妖怪を殺せるのか。」


いくさとは、そうしたモノ。




大陸から攻めてくれば迷わず、やまとに入る前に仕留める。力をふるうのは妖怪の国守、支えるのは戦いなれたおに。その後ろに瓢の民。


傷ついた兵を、生きる事を諦めない兵を片付けるのだ。心にひびが入り、血の涙を流すだろう。




「・・・・・・はい。瓢の民は皆、生きるため生き残るため、海を越えました。やまとに国を建て、静かに暮らす事を夢見て。」



しづめ西国にしくに儺国なのくにの外れにアンナとマリィが吸い尽くし、残されたむくろを妖怪が食らった事で居抜きとなった国に建国。


大社おおやしろに認めさせようと押し掛けるも滅亡。


稻羽から条件付きで、人のときの外れに『異なる国の民』として生きることを認められた。



「そうか。」


引っ越したのは儺国、郡山こおりやま


隠の世では無く人の世の外れ、闇が集まるが猫神の目が光っている地。瓢は国ではなく、妖怪の町である。


稻羽いなばさま。これは私のカンですが、やまとに先遣隊が」


「急ぎ申し上げます。大陸から来た妖怪の兵が大貝山の統べる地、明里あかりの国の松田にて生け捕られました。悪取神あとりのかみは急ぎ大貝神おおかいのかみしらせ告げ為さり、和山社なぎやまのやしろへ。」


隠の世より霧雲山の治め隠、いぬ神の使い狗が飛び込んできた。事が事なので、和山三嶺の使い隠が直接報告。


「ナにィ。」


大国主神おおくにぬしのかみの御声が裏返りました。稻羽は落ち着いて、ません。後ろ足をタシタシしてマス。


げん、よく知らせてくれた。ぬらりよろしく伝えておくれ。」


大国主神、ニッコリ。


眼光鋭いウサちゃんズに見つめられ、御気づき遊ばした。これ、秘密よ。


「ハッ。」


察しが早い竜、一礼して下がる。心の中では『嫌な予感が当たっちまった』と大騒ぎ。






大陸の軍神いくさがみが荒ぶり為さるなら、諏訪すわ御坐おわ建御名方神たけみなかたのかみ、明里に御坐す悪取神の御力をたまわる事になろう。


にしてもナゼ中の西国ではなく中の東国ひがしくに、それも大貝山の統べる地なのだ。鎮の西国に沿ってグルッと回り、四つ国と南国みなのくにを通り過ぎて火の山島へ向かうなど。



「どう考えてもオカシイ。」


稻羽が呟く。


「何がオカシイのか、話しておくれ。」


大国主神に尋ねられ、スッと前足を揃えた。


「申し上げます。幾ら妖怪でも荒れ狂う外海そとうみを、おかに上がる事なく舟で行くなど私、考えられません。」


ん?


「大陸にも海神わだつみのかみは御坐すでしょう。けれど御力を揮われたなら、やまとの海神が御気づき遊ばすハズ。」


うんうん。


狭門せとを抜け、険しく通いにく海路うみぢを行くのに要るのは食べ物より水です。見つからぬよう行くなら外海ですが、内海を行くのは飲める水を手に入れるため。」


そうなんだ。


「戦好きが内海を行くのは、外海を行きたくても行けぬから。海を渡る商い人なら知っている事、大陸の妖怪が知らぬとは思えません。」


渇きに苦しむ、干乾ひからびると分かっていればめるよね。


「舟に積み込むのは長く食べられるよう、干したり塩に漬けたりした物。陸でなら美味おいしく食べられますが舟の上、水甕みずがめからになれば雨乞いするしかアリマセン。」


「それは大事おおごとだ。」


「はい、大事です。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ