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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
明里編
922/1585

10-50 軽業師もビックリ


耶万やまに残らず殺され、滅ぼされた国は多い。松田は海に近くて隠れ易い、良いトコロにある。




「ホドホドにしろよ。」


伊東、うね、悦、大野、久本、光江、安の生き残りが集まった。


会岐あき、大石、腰麻こしま、加津、千砂ちさのも居そうなのに、何で一人も居ないんだよ。居たら潜り込ませて、中から壊して奪えるのに!



集まったのは酷く歪んで、手が付けられないヤツばかり。オレでも引くわ。人の肉なんて不味まずいモン、よく食えるな。


「ヒャッヒャッヒャッ。」


・・・・・・まさかオイ、人じゃ無いのか。


食いモンが無いから、死んだのを食らうってのは有るよ。貧しい里とか村とかさ。けど他に食うモンが有るのに、人なんて食うか? 食わねぇよ。


「ヴゥゥ。」


他じゃ生きにくいのを集めて、松田に国を建てよう。話し合って決めた事。諦めないし手を抜く気も無いから、出たいのは何でも引き入れた。


けどよ、人じゃ無いのは。


「火の山島は波が荒い。しっかり休めよ。」


「おぉ、分かってらぁ。」


違う舟に乗ろう。アヤシイのは先に進ませ、暴れせれば生き残れる。


もう寝よう。岸多きしたに見つからず、松田に着けばソレで良いんだ。難しく考えるな。






悪取あとり様、来ます。悪いのが近づいてきます。」


昼過ぎ。海望うもちに居たホウが『殺す』とか『食らい尽くす』とか、恐ろしい言の葉を聞いた。それら全て、海から聞こえる。


少しづつ大きくなっているから、コチラへ向かっているんだ!


「ありがとう、ホウ。」


嫌な感じがしたので『昼からは海に出ないように』と伝えた。加津にも伝えたから今、沖に出ている舟は無い。


「悪取様。多いです、悪いのが押し寄せてきます。」


「そうか。松田に近づいてはイケナイよ。」


「はい。」


松田、松裏まつうら、松林にも罠を仕掛けた。纏めて片付けられる。


人から奪うのは気が引けるが、迷ってイラレナイ。明里あかりの民を守らなくては。






「ナッ。」


松川に入り、奥へ奥へ進む。


「アァッ。」


松田に着けばコッチのモノ。


「グハッ。」


そう思っていたのに一人、また一人消えた。


「何だ?」


見上げると・・・・・・プランプラァン。


「ハッ、放せぇ。」


暴れれば暴れるホド締め付けられ、グタッ。


「た、すけ、て。」


ボロボロ泣きながら命乞い。






悪取は目にも留まらぬ早業で、ゴロツキの一本釣りを遣って退けた。結果ゴロツキによる松田、建国計画は失敗に終わる。




「混じっているカモしれない、とは思っていたが。」


ゴロツキの中に妖怪、闇堕ちしたおにまで居た。纏めて清めたが耶万、いや大貝山に知らせれば良いのか?


西国にしくにからは、もう来ないだろう。」


伊東、久本、光江は耶万に睨まれ、身動き出来ないハズ。残るは采、悦、大野、安。


「白い森は抜けられない。目指すなら、椎の川か。」


松田に誰も暮らしてイナイ事は、広く知られている。だから川岸を上がらず、松川から来るハズだ。諦めるまで今のまま、しいの集めに使おう。




「悪取様! 産まれます。産まれそうです。」


「もう?」


明を抱えてタッと、張り巡らせた糸の上へ。そのままシュタタタ。


悪取は忍者でも蜘蛛でもなく祝だったのに、軽業師もビックリな離れ業を披露。ホエェェ。


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