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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
明里編
912/1586

10-40 強くなりました


全ての準備が整い、やしろを通って出た。社の横には囲いや、新しい家が建っている。娘たちの中には幼児おさなごも。


腹に触れ、流せるのはドンドン流す。


幾つも社を巡り、合いの子をはらんだ娘を救う。流せなくても闇を取り、生まれれば人と同じ時を生きられるようにした。






悪取あとり様。ウミは、ユウとメイの子は笑えるようになりましたか。」


メイはユウが守るだろう。けれど笑えなくなったウミは、あの子は明里あかり上手うまく立ち回れるだろうか。


優しい子だ、いろいろ耐えてこらえてしまう。だから気になって気になって、よく眠れない。


「はい。ヤンチャな子は少し怖いようですが、他の子とは仲良く話したり、畑に手を入れたりして過ごしています。メイは海の事、ユウは山の事を教え、慕われていますよ。」


「それは良かった。」


そうか、笑えるようになったのか。皆と仲良く暮らせているようでホッとしたよ。送り出して良かった。


「悪取様。これからも妹たちを、よろしくお願いします。」


「はい。」






津久間は豊かな地だ。入り込んだ合いの子が消えれば、直ぐに立て直すだろう。


津久間を出る者が、どのくらい出るのか分からない。けれど受け入れると決めたのだ、家を増やさなくては。



松田に滅ぼされた里や村、国は多い。誰も住んでいないが、手を入れれば暮らせるようになるだろう。


松田に近いより、明里や浦辺に近い方が良い。となると、あの辺り。ヨシ、戻ったら取り掛かるゾ。




悪取神あとりのかみ。少し、よろしいか。」


津久間神つくまのかみ、ニッコリ手招き。


「はい。」


『帰ろうか』と思ったら、御呼びが掛かりました。






悪取が明里の人から望まれ、神格化。御犬社おいぬのやしろが人の手によって組み直され、悪取社あとりのやしろとなった。


悪取神は国つ神。旧松田領は北に白い森、南に海。東に大磯川、西に椎の川。その真ん中にあるのが明里。


明里から糸を張り巡らせ、たった一柱で広い地を守り統べ為さる。



大蛇神おろちのかみが人のときおにの国を建てる許しを御出し遊ばす。悪取は隠の国、明里王あかりのきみ。人に望まれ神と、人の世に御坐おわす隠神と為られた。


そんな神が社の隣に、どの社でも良いから社の隣に困っている娘を集めれば御力をふるわれる。そう聞けば? 伝えるでしょう、ご近所に。



津久間の地を統べる津久間神。畏れ山の地を統べる火炎神ほむらのかみ、斑毛山の地を統べる斑神まだらがみに使いを出され、包み隠さず御伝え為さる。


となれば? 集めるでしょう、御社に。



津久間の地に比べれば畏れ山の地、斑毛山の地も合いの子に苦しめられている人は少ない。が、津久間の地より少ないダケ。






「これは・・・・・・。」


幾ら社の側に集めたと言っても、数が多過ぎる。


「使わしめ一体では心細かろう。火炎社ほむらのやしろからコロ、斑社まだらのやしろからこま、津久間から緑。悪取神が明里に御戻り遊ばすまで使わしめ三体、力を揮います。」


グイッとせまり、ニコリ。


「それは心強い。」


としか言えません。


会岐社あきのやしろ大石社おおいしのやしろ加津社かづのやしろ千砂社ちさのやしろから妖怪の国守。腰麻社こしまのやしろからは妖怪の祝が、明里を入れ替りで守ります。」


ググイと迫り、ニッコォ。


「それはまことですか。」


悪取神、前のめり。


「はい、真です。」


決まったぁ!




中の東国ひがしくにの西端。真中まなか七国ななくにに面した地をアチコチ巡り、数多あまたの娘を御救い遊ばす。


闇を奪い取り、御身に蓄え続けた事で御力を強め為さった悪取神。ペッカァ。


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