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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
乱雲山編
91/1633

5-18 釈放。ただし、監視付き

「ちょっと、何これ。」


セイの前には、洗い物が。


「ちょっと、何なのよ。」


ヒサの前には、繕い物が。



「なにも何も。オマエたちに割り当てられた事だ。」


「はぁ? 多すぎ。減らしてよ。」


「そうそう。こんなの、ヒドイ。」



「仕置場に戻るか。」


ツルの低い声が響く。社の司だが、元は狩り人。強い。小娘など、手も足も出ない。


「やればいいんでしょう。」


「やってやるわよ。」



どこまでも偉そうなセイとヒサ。そんな二人を見張るのは、ゴロゴロ。


雲井神の使わしめ、自ら見張るなど、前代未聞。コンもキラも驚いた。しかし、理由があった。二人とも、こじらせているのだ。



いつまでもひとやに繋いでおけない。だから放った。しかし、やらかす。必ず。だから、見張りが付いた。人だけではなく、妖怪まで。




「フクさま。宜しいでしょうか。」


「なあに、サエ。」


きたる月、セイが十二になります。」


「あぁぁぁ。そうだったわね。」



頭を抱えた。十二は成年、試み村で暮らす。しかし、セイは・・・・・・何も出来ない。このままでは、社で下働き? それは、困る。


今、雲井社には、ツウとコウがいる。あの子たちに何かあれば。考えたくない。あぁ、神様。




「フクさま。気持ちは分かります。分かりますが、祈りを捧げるのは、後にして下さい。」


「そうよね。今は、いま、は・・・・・・。」


「フクさま? だ、誰か。」



考えなければ。セイがいなくなればヒサが、子の家を仕切ろうとする。


セイもヒサも歪んでいる。が、ヒサの歪み方はひどい。すべてにおいて、やり方を選ばない。セイを隠れ蓑に、悪の限りを尽くす。


子のすることだ。知れている。とはいえ、年々酷くなっている。このままでは、死ぬ者が出るかもしれない。


分かっている。分かってはいる。それでも、どうすれば?




「フク、アレを捨てろ。」


「ゴロゴロさま。」


「気づいているだろう。ツウを害する気だ。」


「それは・・・・・・。」



「ツウに何かあれば、コウは戻るぞ。ツウを連れて、釜戸山へ。いいのか、祝辺の守が。」


「や、やめて。聞きたくない。」



「フクさま?」


「何でもないわ。ありがとう。」



妖怪が見張っている。何も出来ないし、させない。


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