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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
明里編
906/1587

10-34 ごめんください


長引くと思われた手続き、サクサク進んで大貝社おおかいのやしろからも認められました。


人のときに建てられたおにの国、明里あかり。旧松田領を治める王は悪取あとりおみあけみ






「良かったですね、悪取様。」


「ありがとう、明。これからもヨロシクね。」


「はい。」


キラキラキラァァ。


「おや、何だろう。体から光が。」


「悪取様、私も輝いてマス。」


アレコレ進めている間、明里の民が祈りを捧げ、心の底から望んだ。『悪取様を神に』と。




「ん、社。」


松田のつわものに蹴り壊された御犬社おいぬのやしろが組み直され、ははその木ごとキラキラ輝いている。


ほらから出た悪取と明が中を覗くと、スッと引き込まれた。


「ここは。」


祝になった時、一度ひとたびだけ招き入れられた。間違い無い。ココは社だ、御犬社だ。


御犬様おいぬさま隠犬おにいぬさま。」


シーン。


「御戻り遊ばしたのでは、無いのですね。」




「皆を導き、守るのです。」


御犬様?


「これからも清らに生きなさい。」


隠犬さま?


「明里、笑え。」


里長さとおさ


「ありがとう。」


みんな笑ってる、幸せそうに笑っている。生きていた時のまま、美しい姿で。


父さん母さん、社の司、継ぐ子たち。ずっと前に旅立った人たちも隠になり、里に戻ったんだね。側に居たんだ、居てくれたんだ。これからも、ずっと。


「良い国にします。人も隠も妖怪も飢えず、怯えずに暮らせる。そんな国にします。」


皆の姿が光の粒になり、スッと消えた。






「悪取様、明を使わしめに。悪取神あとりのかみに仕える隠として、力の限り尽くします。」


キュルン。


「明、私は神になったのだろうか。」


「はい。ほら、お聞きください。皆の声を。」


明に言われ、耳を澄ます。すると・・・・・・。




「私は津久間から明里に越してきた、ユウと申します。悪取様に救われ、メイもウミも笑ってくれるようになりました。」


「私たちにとって、悪取様は神さまです。いろんな神様。悪取様を神と崇める事、御許しくださいませ。」


「私たちは津久間で、とても言えない事をされました。けれど悪取様に救われ、明里でグッスリ眠れます。悪取様、私たちの神様になってください。」


「津久間に居た時は眠れませんでした。怖くて恐ろしくて、水も飲めなくなりました。でも悪取様に救われ、悪いのが消えたんです。悪取様は神様です。」


「津久間の神様、悪取様は良い神様です。ボロボロになった私たちを救い、受け入れてくださいました。神様は見えないけど、悪取様は見えます。でも神様です。」




一度ひとたびは闇堕ちした、けれど、もう吞まれない。皆を守る。だから明、私に仕えておくれ。」


「はい、喜んで!」


明が、明里の皆が望んでくれた。


国を治めるのは人に任せ、私は王として神として明里を守ろう。どんなに掛かっても、どんな事が起きても諦めず、明里を豊かで暮らし易い国にするんだ。






「ごめんください。腰麻こしまのユキと申します。石が光ったのですが私、ソチラへ伺った事ありますか?」


「さぁ、どうでしょう。よろしければ、こちらへ。」


「はい。」


腰麻の団子を持ったユキが、ヒョコっと顔だけ出した。まばたきしてから社に入り、頭を下げる。


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