5-17 嫉妬妄想
皆、遠巻きに見ていた。いつものこと。とはいえ、一段と激しい。
「何よ。なぜ、試み村なの。八つと十よね。」
「すでに、備わっているのです。だから、試み村へ。」
「私たちだって。」
「あなたたちに、何が?」
「ひっ、ヒドイ。私は選ばれた子なのに。」
「私だって、選ばれた子よ。」
「また、始まった。」
「何が選ばれた子だ。何も出来ないくせに。」
「力があるなら、まだしも。」
「何もないだろう。それなのに。」
「アレ、どこから来るんだ?」
「うるさい! 黙れ、クズ。」
「何ということを。」
「黙れ、ババア。」
「慎みなさい。」
セイもヒサも、仕置場に放り込まれた。実はこの仕置場、セイとヒサのために作られた。釜戸社と、同じ仕様である。つまり、暴れても壊れない、強い獄。
信じられない。何なのよ、私は選ばれた子なの。それに、私はコウと結ばれる。決まっているのよ、生まれる前からね。なのに。何なの、ツウ! 私のコウと、手を繋いだ? 許せない。
何なの、ツウ。アンタ、私のコウと手を繋いだ? 許せない。コウは私のモノよ。返してもらうわ。そうだ、早稲で味わった苦しみ。そのまま味わわせてあげる。そうすればコウ、気づくわよね。私の方が相応しいって。
「おっそろしいねぇ。何だい? セイもヒサも。選ばれるわけ、ないだろう。」
「そうそう。それにさ。見ろよ、フク。天を仰いでるぜ。ありゃぁ、祈り出した。」
「祈りたくもなるだろう。聞くに堪えないって。」
「にしても、ヒドイな。」
「確かに。」
「どうする。」
「出られないだろう。獄から。」
「なんせ、釜戸社と、同じ仕様だからな。」
「カァァッ、カッカ。」
「キラ、笑いすぎ。」
「そういうコンだって。尾が、揺れてるぞ。」
「キュッ。バレたか。」
「ニャアァッ、ニャッニャ。」
毒舌三妖怪、絶好調!




