5-16 争奪戦の末
そう、きましたか。いえ、ね。そんな気は、しました。何せ、神の御告げですから。何十年ぶりかしら。
「祝、シッカリして下さい。」
「そうです。村の、行く末に関わることです。」
「引きません。決して。」
長って、こんなだったかしら?
「コウは、ジロの孫です。狩り人として、生きる力を持っているはず。稲田を出て川田に。というなら、諦めもつきます。しかし、乱雲山に来た。私は引きません。ぜひ、矢光の村へ。」
「なっ、何を言う。どんな力にせよ、稲は生きる糧。神の御導きに違いない。二人とも、幸田の村へ。」
「いやいや。確かに稲は生きる糧です。しかし、稲だけでは偏ります。いろいろな野の菜、葉の菜、根の菜など。多く食べなければ、強く生きられません。ぜひ、切雲の村へ。」
『乱雲山の人って、勢いがあるなぁ』と思いながら、朝餉を食べるツウとコウ。稲田の子は、逞しい。
「ごちそうさまでした。とても美味しかったです。」
「ごちそうさまでした。器は、どこへ。」
「ごちそうさまでした。二人とも、手伝っておくれ。」
「はい。」
社の司。ツウとコウを連れて、出た。
フクは心を決め、言った。どの村へも、行かせない。社で引き取る。コウが稲田を出たのは、“小さくても良い。争いのない村”を、作るため。その願い、乱雲山で叶えてほしい。
「すべて、話しました。諦めて、村へ戻って下さい。」
「しかし。」
「認めません。」
「けれども。」
「認めません。」
「とはいえ。」
「認めません。」
「どうする。」
「どうもこうも。」
「それは、そうだが。」
「ハァァ。」
三人の長、思わず溜息。
「何も、閉じ込めるわけでは。」
「と、いうことは。」
「コウは、狩り人として生きたいと。ツウは、いろいろ出来るようです。何を選ぶにせよ、ゆっくり決めさせます。」
「と、いうことは。」
「二人とも、生きる術、力があります。ですので、社から試み村へ、通わせます。」
「と、いうことは。」
「見守ります。決して、強いてはいけません。皆、良いですね。」
「落ち着く所に、落ち着いたな。」
「にしても、熱いねぇ。」
「そんなに欲しいのか。」
「欲しいから、集まったんだろう。」
「まぁ、そうだな。」
「引いてた、二人とも。」
雲井社の三妖怪、呆れながらも見逃さない。ワクワク続くよ、どこまでも!




