表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
明里編
878/1586

10-6 調査に御協力ください


しづめ西国にしくに、中の西国、真中まなか七国ななくにでボコボコ生まれる、人と妖怪の子。


親から引き離せず、食らった合いの子は捨てられる。捨てられた合いの子が子をし、すり抜け暴れ、人を襲う。



鎮の西国と鎮の東国ひがしくには海に囲まれているが、残りはおか続き。


真中の七国の西は中の西国、東は中の東国、南には南国みなのくに。南国も中の東国も、妖怪の国守をさかいに向かわせ防いでいる。


けれど広く、幾ら強くても直ぐに動けない。



南国は稜見いつみ猪瀬いせ、中の東国は斑毛山まだらげやまと津久間のさかいで増えている。


北の海は荒く、恐ろしいのか漕ぎ出さないようだ。南も荒れているが慣れているのだろう。飛国とのくにからドッと、舟で。






「人と妖怪の合いの子、その扱いなど、やしろを通して広く伝えられている。加えてヨヨが先見さきみした事も千砂神ちさのかみの使わしめ、蜜が悪取あとりに伝えた。」


大蛇神おろちのかみ、キリリ。


明里あかり千砂ちさと結んだのですか?」


水引神みずひきのかみ、ニッコリ。


「人が行き来する事は無い。妖怪の国守が力を貸すが、悪取の力は他とは違う。二つの闇の力に、悪しきモノを奪う力が合わさった。加えて、もう一つ。」


「悪しいモノを消して、無くす力ですね。」


集水神あつみのかみ、クワッ。


「人を救い、守るおにになると良いですね。」


誘神いざなのかみ、ニコニコ。


「悪取は人のときに隠の国を建て、他では生きられぬ者を守り導く。隠の世が開くまで。」




悪取は旧松田領に罠を張り巡らせ、片付けを始める。


水際みぎわにも糸を張り、守りを固めた。アチコチにタプタプ袋を仕掛け、からめ捕ったしいモノを逃さずかす。


悪取が生きている限り、明里が闇に呑まれる事は無い。



あけみやまいぬの隠だが、人に姿を見せられる。言の葉も話せる。四つ足なので火を扱ったり、水をんだりは出来ないが寄り添い、心を支えるだろう。



明里に迎えた人に強く望まれ、人の手で社が建てられれば神となる。そうなれば隠の世が開いても人の世に留まり、力をふるい続けるカモしれない。


そうなれば人の世に隠神が、ん? 良いではナイか。




「真中の七国と中の東国の境に、妖怪の国守が集められたが悪取は隠。妖怪では無い。」



真中の七国から山を越え、津久間に入った悪しいモノ。罪の無い人を傷つけ、追い詰めるのだ。捨て置けぬ。


悪取が加わればサクサク狩れるだろうが隠の国、明里王あかりのきみである。送り込むのは難しい。



新たな合いの子は見分けるのが難しく、通してしまう。おかから行けなくても海はガラき。人のフリをして海に出て、津久間に入るのが出てきた。


津久間の人を傷つけたのは、そういうヤツら。




「強い力を持っているとはいえ、隠に出来た事。」


「出来る事は限られるが、力を尽くそう。」


「呼び寄せる気は無いが、入れば奪える。」


「死を願う者から闇を奪い、帰せば良いのだ。」


「ウム、それは良い。」


「人の世の神へ、使いを出すか。」


狭間はざまに押し付ければ良いと、考えねば良いが。」


「丸ごと、投げ為さるだろうなぁ。」


集いいました狭間の守神もりがみ、揃って溜息。


当たり前のように丸投げし、ナアナアで済ませ為さる。そんな神が幾柱も御坐おわすのだ。溜息の一つもきたくなる。



良那らなのヨシのように、闇を受け継いだ人。」


「人と妖怪の間に、人として生まれた者が他にも。」


「居ろうな。」



今のところ、そのような闇は見当たらない。けれど必ず、どこかで生きている。


言えないような事をするヒトデナシ。奪う事で『生きている』と感じるヒトデナシ。生まれつきのワルもアヤシイ。



調べてほしいと持ち込まれる闇は、そう多くない。闇を切り取る前に清めてしまうから。



「統べる神から、統べる地の神に告げ知らせを。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ