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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
光芒編
867/1585

9-79 丸投げするダケなら要らぬ


松田に滅ぼされた里や村、国の全てが壊されたワケでは無い。浦辺や松田など、国があった地には残されている。


ソコに住み着いたのは悪い人、罪を犯した人。



家から煙が上がると、狩りが始まる。


捨てられた合いの子にとって、松田の縄張りに居る人は食べ物。獣とは違うが、裸ん坊では無い。というコトは違う生き物。迷わず狩り、バリバリ食らう。




ジュゥゥゥ。



松田の縄張りに捨てられた、人と妖怪の合いの子たち。おにときへ行く事も、根の国へ行く事も無く清められた。


生まれた地に神が御坐おわせば、妖怪の祝か国守が居れば、生きられたカモしれない。生まれて直ぐに引き離され、引き取られ、幸せに暮らせたカモしれない。






隠の世から拒まれた妖怪、人の世で暴れ続けた妖怪、悪しい全てがはらい清められた。松田の縄張りに残っていたり、持ち込まれた闇喰らいの品も残らず。


張り巡らされていた罠がベチャッと落ち、スッと消える。



大祓の儀は終わり、静まり返った。そして直ぐ、暑い雲を引き裂くように、空から光が突き刺さる。その真中まなかで絡み合う、二つの魂。


一つは大貝神おおかいのかみ、もう一つは。




ピキッ。ピキピキッ。


逃げたくても逃げられない。何だ、この糸は。土の糸とは違い、ネバネバしている。


・・・・・・祝の力? この男、なぜ動かない。なぜ離れない、何が可笑おかしい。死ぬのにナゼ、助からないのにナゼ笑えるんだ。



「ニガシマセンヨ、オオカイノカミ。」


やまいぬの里の祝だった明里あかりの目から、光が消えている。


祝の力を失い、悪いモノを取る力を得た。それをふるいながら逃さないように、おのごと包んでいる。



バキッ。バキバキッ。


放せ、今すぐ放せ。私は死なない、死にたくない。代替わりナドせずとも、心を入れ替え。そうだ、私は生まれ変わる。・・・・・・生まれ変わる?


「ダイガワリ、ナサイマセ。」


目から鼻から耳から、サラサラと何かが溢れ出る。



ボキッ。ボキボキッ。


長瀬山に闇を捨て、山を流したのは悪かった。アレで罰を受けるなら解る。けれど、このたびは。


確かに『次は無い』とキツク言われ、誓った。誓ったから何もせず、大貝山にこもり。籠り?


「マイリマショウ。」


あらがう神をからめ捕り、明里が囁く。




キィィン。グシャッ。


強い力で押し縮められ、血も肉も魂も消えた。光の筋がボンヤリかすみ、スッと吸い込まれる。舞うように。






「終わったか。」


和山社なぎやまのやしろにて、大蛇神おろちのかみ


「はい。」


鯉神こいかみ、ニッコリ。



国つ神に限らず、神は人のアレコレを見守るのみ。けれど同じ国つ神から、何らかの助けを求められれば動く。手を差し伸べる。そのために御坐おわすのが統べる神。


丸投げするダケなら要らぬ。働け!



現れ出られるまで、我が治めねば。・・・・・・ハァ。



「申し上げます。中つ国、人の世。大貝山の統べる地に残されていた闇喰らいの品、全て祓い清められました。」


飛んできたのは使い蜉蝣かげろうちか


「ウム。皆、良く働いた。ゆっくり体を休めよ。」


ニコッ。


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