表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
光芒編
861/1585

9-73 オレが祝だ男だよ


私は、何と恐ろしい事を。統べる地で何が起きたのか、包み隠さず聞いたのに。聞いていたのに動かなかった。


助けを求められたのに押し付け、見て見ぬふりを続け、丸投げしたのだ。



もし動いていたなら、大祓おおはらえに加わっていれば。


悔いても悔いても時は戻らぬ。死なせずに済んだ、救えた。なのに私は何もせず、いや違う。統べる神なのに、統べる地を見捨てた。


この地で生きる生き物を、見殺しにしたのだ。






「祝を逃がすなぁぁ。」


「オォォ。」



来い来い来い来い、ついて来い。里から離れろ、今すぐ離れろ。祝はココだ。



この命に代えても、皆が旅立つ時を。御犬様おいぬさま隠犬おにいぬさま。どうか、どうか皆の魂を御導きください。


犲の里は滅んでも、いつか必ず戻ります。死んでも、ってでも戻ります。ですから皆を、魂を御守りください。



「矢をはなてぇ。」


シュンシュンシュン、ブサブサブサッ。


「ヒヒィィン。」 ワァァァッ。


ドタッ。



前から横から後ろから、矢の雨が降る。祝が乗る馬にあたり、振り落とされた。腰を強く打ち付けた祝は立ち上がり、フラフラしながら走り続ける。



「追え、追えぇ。」



少しでも里から離れようと、祝は走る。腰に右の手を当て、痛みに顔を歪ませながら。顔を隠すため被った布を、左の手でシッカリ掴んで。


顔を見られたら気づかれる。松田のヤツ、祝に会いたいと近づいてきた。オレが祝だ男だよ。


松田は里の祝が、逃げた祝が男だと知らない。




「つぅか、まえぇ、たっ。」


き、気持ち悪ぅ。


「ヘヘッ。イイ尻してるゼ。」


ゾゾゾッ。


大王おおきみの女だ。ソレくらいでめとけ。」


「もうチョットくらい、イイじゃねぇか。なぁ?」



耐えろ、耐えるんだ。


祝が生まれ持つ闇の力、人に扱える滅びの力は弱い。操れるのは三人。耶万やまに殺させるには、大王にダケ。三人に使う力を、大王一人に叩きつける。


他の国には見向きもせず、耶万まで突っ走らせるんだ。



そうだ、今井を通ろう。


耶万に敗れ死に絶えた。あの地に居るのは耶万のおみと、放り込まれた奴婢ぬひ。毒を作るのに使われていると聞いた。



「祝を寄越せ。」


「お、大王。」



すそから手を入れ、内腿うちももをサワサワ。恥じらいながら手首を掴み、弱弱よわよわしく押し退ける。


声は出さない。股と胸は触らせないよう、体を丸めて逆らう。後ろから抱きしめられるまで、耐えて耐えて耐える。



「んっ!」


カカッタ。


「耶万、耶万を攻める。」


???


「続けぇぇ。」


「ハッ、ハイィィ。」



あぶらぎったオッサンに、ピッタリ身を寄せる祝。大王の腿や胸に手を伸ばし、滅びの力を重ね掛け。


男にサワサワされているのに全く気づかず、デレッデレ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ