表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
光芒編
855/1585

9-67 怒り心頭に発する


加津での神議かむはかりで、大祓おおはらえの儀を執り行う事が決まった。急ぎロロが一山いちのやまへ飛び、人のときからおにの世へ。


和山社なぎやまのやしろで御許しをいただき、加津に戻る。



大蛇神おろちのかみは急ぎ、根の国と天つ国へ。大祓の御許しをいただき、蜉蝣神かげろうのかみの御元へ。蜉蝣神は使い隠、ちか加津社かづのやしろへ向かわせ為さった。






加津に三柱、国守が三妖。・・・・・・逃げよう。


「ん、んん?」


動けない、ハッ。腰麻こしまの祝がナゼ、加津に。



祝は里や村、国から出ない。妖怪の祝は出られるが、妖怪の国守にガッチリ守られる。腰麻に妖怪の国守は居ないから、祝であるユキが出る事は無いハズ。


ユキには闇を刃に変え、むちのように自在に操る力が有る。光の力は失ったが、祝の力は残っている。つまり、その気になれば神をも。



「まっ待て、早まるな。こレでは話ガ、出来ぬ。」


三柱ともナゼ止めぬ、諭さぬ。妖怪とはいえ祝が、国つ神を傷つけようと、して居るの、だぞっ。


「大貝山の統べる地で、残るは。」


加津神かづのかみ、ニッコリ。


「白い森の北は、私が清めました。その北は早稲神わさのかみ風見神かぜみのかみ一山いちのやまの北は大倉神おおくらのかみ大稲神おおいなのかみが御調べに。」


耶万神やまのかみ、ニコニコ。


「となると松田の縄張りと、西端の南の地。」


千砂神ちさのかみ、ニコリンコ。



・・・・・・あれ、アレあれアレ。ニコニコにこにこ、ニッコニコではないか! というコトは、アレか。アレなのか。そうなのか。



「西端の南の地は里も、村も国も無い。松田のアレコレが片付いてから、ゆっくり調べましょう。」


加津神、ニッコォ。


「では白い森の南。松田の縄張りだった地は、大貝神おおかいのかみに御頼みしましょう。」


千砂神、ニッコォォ。


「あの地を扱えるのは一柱。直日神なおびのかみで在らせられる、大貝神のみ。」


耶万神、ニッコォォォ。



・・・・・・あれ、アレあれアレ。コレはアレか。アレなのか。いや違う、押し付けねば。



「国つ神は見守るのみ。ココは妖怪の国守、ミカに。」


チラッ。


「お断りします。」


キリッ。


「祝は人でも妖怪でも守らねばならぬ。が、妖怪の国守は戦うために居る。命を惜しむな。」


ナニイッテンノ。


「私が死ねばイイを。引き取った合いの子を、誰が育てるのでしょうか。」


「他に妖怪が居らねば、祝に引き取らせる。」


ナニイッテヤガル。 


「人と妖怪の合いの子です。きっと人より長く、長く生きるでしょう。あやした嬰児みどりごが育ち、老い、看取る。それを繰り返す合いの子の気持ちが解りますか。少しでも御考え遊ばしましたか、大貝神。」


「フン。人と妖怪は違うのだ、何の障りも無い。」


ナンダト。



ミカだけじゃない。フタ、モト、クベも激しく怒る。守りたい人を守れず、妖怪になったのだ。もう失いたくない、傷つけたくない。そう強く思っている。


血の繋がりは無くても親。ミイもヨヨもイイもムゥも、幼児おさなごに見えるが嬰児。親が居なければ生きられない。


なのに、それなのに一人しか居ない親に、子を残して死ねとおっしゃるか!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ