表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
光芒編
834/1585

9-46 和邇、まっしぐら


大きい。前に見た舟より、ずっと。


畏れ多い事だが『物は困る』とおっしゃった、甲さまの御気持ちが良く解る。あんなのが海に沈めば、片づけるのにドレほど掛かるか。






「み、ミカさん。」


「落ち着けクベ。海に落ちても、オレが引き上げる。」


「はい。お願いします。」



クベじゃ無くても気後きおくれする。


でもまぁアレだけ大きけりゃ、海に出るしかナイな。松田の近くを流れる川を上れば、椎の川に出る。出るが、あの舟じゃなきゃ入れない。


北へは・・・・・・いや待て。初めから椎の川に入れば北の地へ。確か、暴れ川に出るハズだ。



「なぁクベ。いろいろマズイ事になるぞ。」


「エッ、と。」


パチクリ。


「確か社を通せば、大貝社おおかいのやしろと話が出来る。そうだったよな。」


「はい。」



アッ、そうか。大磯川から入ったら、直ぐに千砂ちさが気付く。見落としても必ず、風見かぜみが気付く。いくさ慣れしてるから通す事は無い。けど、椎の川から入ったら?



蛇谷は滅んだ。実山みのやま大国おおくにで強いけど、大の戦嫌い。仕掛けられない限り、手を出さないハズ。


川上にある谷西たにしは小さいし、アレと戦えるほど強くない。他の村や国だって、似たようなモノ。



ってコトは、わぁぁ。お知らせしなきゃマズイ事になるよね。流山が片づけそうだけど、飯田とか強いのに潰されそうだけど、言わなきゃ怒られるよね。きっと。






ミカが闇を展開して、船団の行く手を阻む。と同時に潮の流れが止まった。海神わだつみのかみの御力である。



西から来たつわものたち、キョトン。他は流れているのに、器に入れられた水のよう。泳いで確かめようとしてめた。和邇わにの群れにグルッと囲まれている。


飛び込めばパクッと美味おいしく、食われてしまうだろう。



退け、化け物。」


確かに人ではアリマセン。妖怪ですので、合ってます。


「引け。加津から離れろ。」


ミカが声を張り上げた。


「ハッ、たった一隻で何が出来るぅ?」



男から伸びる黒いのにころもを引っ掛けられ、兵が五人ぶら下がった。そのままスッと、和邇の上へ。


心做こころなしかワクワク、いや待ち望んでいる。



ココまで来たのに引けるか! 何としても港に入り、若い男を攫う。ん、良く見れば若いな。アレをコチラに付ければ、耶万やまとの戦いに益をもたらすのでは。



「加津を戦場いくさばにしたく無ければ、大人しく従え。」


「フゥゥゥ。」


息を吐いたミカの目が、ギラリと光った。



犠牲になったのは兵頭つわものがしら鳩尾みぞおちの左右を貫き、プラァンと真横に移動。軽く揺するたび、ポタポタ垂れる血に和邇たち大興奮。


ワクワク、ビチビチ。まぁだかなっ。



「ま・・・・・・て。」


目を白黒させながら、必死に口を動かす。



ドボン。かぁらぁのぉ、キャッホォイ♪



肉だ肉ニク、人の肉ぅ。血抜きしてナイ新鮮だ。イェイ! お肉ニク肉、お肉ニクぅ。残さず美味しく、いただきマス。ハイ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ