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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
光芒編
823/1585

9-35 分かっていても、気になる


「フゥゥ。」


山守神やまもりのかみ、ヘナヘナヘナァ。



神議かむはかりが終わり『叢闇の品』が祝辺はふりべから、和山社なぎやまのやしろへ移された。


人のときから離れたのを確かめてから、静静しずしず祝社はふりのやしろへ。平良ひらの烏がいただきをグルリと飛び、山へ戻る。



凝りもせず崖を越えようとした祝は捕らえられ、ひとやへ放り込まれた。はい、その通り。ジッタンバッタン大騒ぎ。


霧雲山を崩す気ですか?



「祝は三日ほど、入れておきましょう。」


「そうね。」



出せば出したで騒ぐのだ。祝の居ない間に、思いっきりくつろいだって良いだろう。ソレくらい許して。






隠神の御手により、神倉ほくらが建てられた。明くる朝、叢闇の品を納めるため、おにの世から出す。



「マル、どうしよう。」


「どぉしたの、タエ。」


西国にしくにからね、いっぱいつわものが来るの。強い国守が追い払って、光江に行くけど。」


「海、いけないね。」


「うん。・・・・・・タマがね、壊れちゃう。」


「エッ!」



大蛇おろちは夜まで戻らない。だから使い蛇に、玉置の事を尋ねた。分かった事は二つ。


川田に仕掛けようとした国長くにおさが捕らえられ、宝玉たかたまの獄に入れられた事。新しいのも戦好きだが、社の司には逆らえない事。


玉置を仕切っているのは長では無く、宝玉社たかたまのやしろ。だからいくさを仕掛ける事も、攻める事も出来ない。


分かっていても気になる。



シゲは獣谷、ノリとセンは釣り。シンは商いで居ない。タケとムロ、カズは良山よいやまのドコに居るのか分からない。コタは田んぼ、コノは畑に居る。


二人は急ぎ、コノの元へ。田より、畑の方が近いから。




「マル、タエ。そんなに急いで、どうした。」


「カズさん!」


トコトコ駆け寄り、ガバッ。



タエはマルと手を繋いだまま、見た事をカズに伝えた。話し終えると頭を撫でられ、ニッコリ。隣でマルがマルコを従え、ニッコリしている。


あんなに怖かったのに、苦しかったのに嘘みたい。



「分かった。タエを玉置へ行かせられないが、タマとミヨに会う事は出来る。」


「ワン。」 ヨカッタネ。


カズの飼い犬、コナツが尾をフリフリ。






「確かタマには、水の声が聞こえるんだったな。」


カズから話を聞いた、シゲが呟く。


「海で起きた事でも、水から伝わるのか。」


「だとしたら、つらいでしょうね。」


コタとコノが、悲しそうな顔でポツリ。



まだ幼いが、タマの力は強い。宝玉社の祝よりも。人の長である社の司には、心の声が聞こえる。禰宜ねぎは風、祝は水使い。


継ぐ子の中に、守りの力を持つ者は居ない。祝の力を持つ者が力を合わせても、止められないだろう。



「シゲ。タマが望めば、良村よいむらに引き取ろう。」


ノリが問う。


「そうだな。先ず玉置に行って、話を聞くよ。それからだ。」


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