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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
光芒編
819/1585

9-31 取れ捕れピチピチ、お肉だぜ


耶万やまを滅ぼすのは、万十まと氛冶ふやが引いた今。」


霧雲山に仕掛けなければ、殺される事は無い。


「祝を捕らえ、奴婢ぬひとせよ。」


大王おおきみの中の大王となれば、やまとを統べられる。


「ヲォォォォォ。」



舟の上でつわものたち、大騒ぎ。しづめ西国にしくに、中の西国、真中まなか七国ななくにから、命知らずが押し寄せる。


食欲旺盛な和邇わにさんズ、大喜び。取れ捕れピチピチ、お肉だぜ。キャッホォイ!



「アッ、あの影は。」


海の暴れん坊、参上。


「和邇だぁ!」



そんなに怖がらないで。つぶらな瞳が愛くるしい、和邇ですヨ。キュルルン。


海の殺し屋? まぁソウだね。オレたちより大きなくじらにだって、ケンカ売るモンね。皆で!



「かっ、囲まれた。」


「お助けぇぇ。」


ひるむな、漕げ!」


ムリです。



海神わだつみのかみの御許しを得ているのだ。見つけ次第、ギリギリを攻める。海に落とすのは人だけ、物は要らない。


それ行け良い子たち。ガンガン攻めなきゃ、食いっぱぐれるぞ。



「こりゃマズイ。」


見つけた釣り人、揃って真っ青。


「暫くは、海に出られないな。」


巻き込まれてはタマラナイ。竿を置いて、セッセ。






「なっ、なんで。」


ココは内海うちうみ


外海そとうみでしか、見ないのに。」


珍しいよね。



クジラ目ハクジラ亜目マイルカ科シャチ属。逆又さかまたとも呼ばれます。鯨を襲うので、土佐では『くじらとおし』と言うそうデス。


体長約9メートル。背面は黒、腹面は白色。頭は円錐形で歯は鋭く、背鰭は大きく逆鉾状。世界中の海に分布。つまり、内海に出てもオカシクない。






にぎやかですね。」


海神の使わしめ、こう


「フム。」


『話し合って片づければ良いのに』と思いながら、クワァっと欠伸なさる海神。



おかの物を、海に入れるのはめてほしい。だから和邇に伝えたのだ。『海に落とすのは、人だけ』と。



狭門せとを通るのは、釣り人ダケになりました。」


「それは良い。」



鎮の西国、中の西国は諦めたか。飛国とのくにから出た舟は、幾ら残るカナ。そろそろ和邇を引かせよう。






「えぇい、怯むな。怯むなぁぁ。」


ドボン。


「たっ、すけ・・・・・・。」


ブクブクブクゥ。



赤く染まる海を、震えながら見つめる兵たち。気を抜けば和邇の餌に。お助けください、神様!


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