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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
光芒編
809/1585

9-21 あぁっ、もう!


叢闇剣むらやみのつるぎ叢闇鏡むらやみのかがみ叢闇珠むらやみのたまも全て、押し付けられた品。贈られたのでは無い。なぜって? わざわいもたらす品だからデス。



闇喰らいの品を手にした者は、必ず血を求める。戦狂いくさぐるいになるのだ。攻めて攻めて攻め続けて、多くの命を奪う。


闇喰らいの品は禍を貪り、溢れる闇を取り込んだ。里一つ、村一つ、国一つ。




むくろの上に築かれた国は直ぐに朽ち、病を撒き散らす。死肉を食らった鳥が、離れた地に病を運ぶ。


アチコチで噴き出す闇をジックリ味わい、闇喰らいの品は力を蓄えた。



権力者どもは求める。


叢闇鏡を手にすれば、巨万の富を得られる。叢闇珠を手にすれば覇者になれる。闇喰らいの剣を手にすれば、大陸の覇王になれる。そう信じて。



力を求めたのは、おさきみだけでは無い。


宮廷に仕えた宦官かんがん。色仕掛けで篭絡ろうらくし、成り上がる者。いくさに狂う王を操り、政治の実権を握る者。諫言かんげんを聞き入れない主を見捨て、民のために生きる者など。


賢い者は気付く。この品が有る限り平和は訪れない。禍を遠ざけるには遠くへ捨てる、いや欲しがる者に与えれば良い。



闇喰らいの品は海を越え、やまとへ。剣は儺国なのくに、鏡は対国ついのくに、珠は岐国きのくにに持ち込まれた。それからだ。アチコチで、激しい戦いが始まったのは。




「東へ行こう。」


「中の西国しにくにか。」



しづめの西国は薄かった。闇の種が生長し、光に変えたから。中の西国は、西の端が清められたダケ。奪えるだけ奪って、二つの品は飛び立った。



「来ましたよ。大国主神おおくにぬしのかみ、シッカリなさいませ。」


「ウ、ウム。」



大祓おおはらえの儀は一柱でも逃げ出せば、中つ国が滅ぶと言われている。


おにときは頼れない。木俣神このまたのかみにも白兎しろうにも、稻羽いなばにも断られた。となれば、どうする。力を蓄えた闇喰らいの品、壊すには。



ん、奪えば良いのでは? 鎮の西国で取り込んだ闇を、残らず清めれば脆くなる。動かなくなるまで奪い、砕けば片づくハズ。


頼り無いナンテ言わせない。他の神を巻き込みたくなかった、それダケの事。とでも言えば、イケル!



「病や、思いがけず受ける災いは防げても。」


「そう言うな、稻羽。」


御目が泳いでマス。


「四の五の言ってナイで、サクッと清めてください。」



ギュンと引き合い、バチッと離れる前に清める。


壊せなければスゴイ事になるよ。それはもう、スンゴイ事にね。あれ、エッ。グルグルし出した。



「大国主神、今です。さあ!」



・・・・・・あれ? ハッ。大国主神なら御考え遊ばす。『この地に溢れた闇を取り込ませてから、纏めて清めよう』と。


あぁっ、もう!



頭が痛い、クラクラする。幾ら何でも難し過ぎます。強い清めと守りの力が無ければ、そんな事できませんよ。目を覚まして。


夢の中ではアリマセン、逃げちゃダメ。



木俣神に御願い申し上げ、大蛇神おろちのかみ言伝ことづてを。


闇喰らいの品は禍禍まがまがしく、中の西国で闇を取り込めば壊せない。アレを清められるのは隠神か、狭間はざまの守神。




「探さないでください。」


そう言い残し、杵築大社きづきのおおやしろを飛び出す稻羽。



木俣社このまたのやしろに飛び込んだ時、赤い稲妻が走った。はい、その通り。手遅れです。


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