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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
光芒編
808/1590

9-20 仕様が無いなぁ


跳ねる闇喰やみぐらいのつるぎはらい、集めた闇を持ち込んだ壺に入れる。キュキュッと蓋をして、糸袋にポンッ。



大貝神おおかいのかみ大事おおごとです。起きてください。」


グワングワン()すられ、クワッ。


「分かった、起きる。」


長い付き合いだ。狸寝入りは通用しない。


「で、何だ。」



・・・・・・エッ、何それコワイ。


闇喰らいの剣が跳ねた? 抜いた闇がコレって、うわぁ。壺に入れ蓋をしても、ハッキリと解る禍禍まがまがしさ。



「閉ざされているが、おにとき和山社なぎやまのやしろへ急ぎ、御知らせしよう。土、輿こしに乗って行きなさい。」


「はい。」



この闇、清めようと思えば清められる。けれど隠神に託す。


土に持たせるのは嫌だが、輿でなら障り無い。どんなに愚かでも、神輿(みこし)にドウコウしようとは思わぬ。傷一つでも付ければ、直ぐに清めるからな。






「困った事になった。この闇、濃すぎる。」


調べなくても判った。闇喰らいの剣から採取された闇、ドロドロのギトギト。


「この濃さ、清められるとすれば。」


言い難そうに蛇神を見つめ為さり、ニッコリ。



強い清めと、守りの力を生まれ持つ祝。つまり大蛇神おろちのかみめぐし子、マルに頼めば良い。


けれど『良村よいむらの祝に』なんて、『愛し子に任せましょう』なんて言えないよ。となれば、もう笑うしか。


ニッコリニコニコ。察して、お願い。




「朝餉を食べ、お片づけしたら話す。」


一同、ホッ。


蝙蝠神こうもりのかみ叢闇鏡むらやみのかがみは。」


「日が落ちて直ぐ、引き寄せられるように儺国なのくにへ。」


「牛神、叢闇珠むらやみのたまは。」


「日が落ちて直ぐ、引き寄せられるように儺国へ。」



日が落ちて直ぐ、儺国で何かが起きた。その前に考えなければ。鮐神ふぐがみより知らせ告げられた、あの事を。


化け王の許し無く、アンリエヌを出た生き物。『新たな一族』は闇に生き、光を忌み嫌う。その残りがアンリエヌに戻ろうと、西へ進む。



対国ついのくにから入ったのも、『新たな一族』の残り。三つが儺国で一つになって、闇を。いや妖怪に食われたか、取り込んで暴れたのだろう。



「闇喰らいの品を壊そう。剣から抜いた闇は、愛し子マルに任せる。あの子は幼い。剣でも鏡でも珠でも、品に触れ壊すには早過ぎる。よって叢闇鏡、叢闇珠を人の世。大国主神おおくにぬしのかみに清め滅ぼすよう、御勧めしようと思う。」






稻羽いなばぁ、帰ってキテェェ。」


絶叫なさる大国主神。使い兎たち、溜息。


因幡いなばへ帰らせて頂きます。」


戻って早早そうそう、激務の予感。この手のカンって当たるんだよネ。クルッ。


「待て、お待ちください。」



嫌です。・・・・・・捨てられた仔犬のような目で、兎を見ないでクダサイ。


大国主神、お忘れですか。『大いなる国の主』で在らせられるのです。胸を張って、大祓おおはらえの儀を執り行いましょう。ネッ。



「稻羽が支えてくれるなら、務められるような気がする。」


可愛くおっしゃっても、稻羽? あらぁ、引き受けるのね。


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