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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
光芒編
804/1587

9-16 残るなら従え


しづめ西国にしくにの北に儺国なのくにがある。里は村に、村は国に組み込まれ、いくさが絶えない。それを纏めるのが儺王なのきみ


その儺に闇が集まった。




ヴォン!



闇の実がはじけ、光の雨が降る。届けられた光は闇を清め、輝きながら土に溶けてゆく。鎮の西国のなかばから、渦巻いていた闇が消えた。



「これで暫くは、過ごし易くなる。」


シミジミと猫神。


「そうですね。」


使いおに、ニッコリ。






大国主神おおくにぬしのかみ。儺から生えた木? から、禍禍まがまがしい実が生り、ソレが弾けて光が降り注ぎました。」


「ん、木? 実が弾けて光とな。」


「はい。」



フムフム。鎮の西国から溢れた闇が、残らず清められた。なんと喜ばしい!


大祓おおはらえの儀で清らになったのに、始められた戦により渦巻いた。その闇が清められたと。ウンウン、良かったヨカッタ。



・・・・・・ナニ、清められたのは半ばダケ?


なぜマルっと清めぬのだ。儺から飛び散ったから、そうなったと。ええい言うな。ん、中の西国も清められたと。それを早う言わぬか。



・・・・・・西の端だけ? もっとドバッと清めれば良いモノを。響灘ひびきなだが清められた。そうか、それは良かった。




「トコロデ、ソノキノタネ。ドコニアル。」


なぜ、片言かたことなのですか。


「ワカリマセン。」


使い兎までカタコト。






耶万やまから引く。」


「サミさま!」


「聞かぬ。アレを見ても、まだ戦うと言うのか。」



儺王の四彦よつひこ、サミ。


幼子おさなごの頃から一人づつ、兄を陥れたり死なせたりして跡継ぎになったキレモノ。末の妹、ココにダケは優しかった。



父に代わって出た戦に勝ち、戻ったサミは激しく怒る。


ココを奪われたと知ってからだ。戦のてだてより、(はかりごと)に重きを置くようになったのは。




「父王は引き際を誤った。耶万にはバケモノが居る、人の力ではかなわない。だから引く。私は大王おおきみ、儺を守る。嫌なら儺を出ろ、残るなら従え。」


「サミさま。それでは死んだ者が浮かばれません。ココさまも」


「ココは死んだ。あの子は戦を嫌う優しい子。とむらいの戦など望まぬ。」


おみを前に、ハッキリと言い切る。


「それは」


首筋を切られ、血がプッシュゥ。



つるぎを振り、血を飛ばしギロリ。ドタッと倒れたむくろを指し示し、ニヤッ。


「もう一度ひとたび、問おう。儺を去るのか残るのか。」



サミは『去る者は追わず、来る者は拒まず』を貫いている。裏切ったり背かない限り、殺される事は無い。


幾人いくびとか、頭を下げて出た。サミは黙って頷き、動こうとしない。




「サミ大王に従います。」


残る事を選んだ臣たち、サッと平伏す。


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