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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
光芒編
802/1586

9-14 オレが言うのも何だけど


ガガの顔に、首に手足に見た事の無い・・・・・・あざ? ピクピク動くソレは、生きているよう。



「アッ、アアッ。」


きっと祝の力だ。この男に何か、恐ろしい事をしたんだ。口をパクパクさせながら胸を押さえている。


大王おおきみ。今すぐガガの胸を、つるぎで突きましょう。」


ウナが叫ぶ。


「何を。殺すなら甚振いたぶって、死んだ者の」


「それでは手遅れ、間に合わないんだぁぁぁぁぁ。」



大王の言の葉をさえぎり、カッと見開いたウナ。泣きながら飛び出し、真っ直ぐ港へ走る。舟を押して飛び乗り、かいを握った。


『死にたくない死にたくない死にたくない』と、目をグリングリンさせながらブツブツ。耶万やまで起きたアレコレを思い出し、セッセと舟を漕ぐ。



離れなければ、少しでも遠くへ逃げなければ。


耶万の社の司、禰宜ねぎ、継ぐ子も人で有って人では無い。アレはバケモノ。大王も大臣おおおみも、他の人も社の言いり。


逆らえば殺される。だから従う、黙って従う。



あの男は、罪人ガガは耶万から押し付けられた。『引き取れ』って、押し付けられたわざわい。きっと何か起こる。


オレは悪くない、ちゃんと伝えた。直ぐに胸を突いていれば、きっと。






ブチッ、ブチブチッ。



ガガの口から鼻から、血がドッバァ。耳からも噴き出し、目玉がポンと飛び出した。


「アッ、アアアッ、アァァァァ!」


腰が抜け、叫ぶ事しか出来ない。



お偉方から溢れる闇を取り込み、ガガの体がグネグネ動く。もう人では無い。


蔦がシュルシュルと伸び、ポポンと葉が開く。集まった人からも闇を吸い取り、ドンドン育つ。




メリッ、メリメリ。



グングン大きくなり、建物を突き破った。ドンと土の上に根を張り、多くの人が逃げ惑う。



プゥゥ、ボンッ。



花が咲いた。花糸がビヨンと伸び、舐めるようにからめ捕る。クルンと縮んでゴクゴク。ペラペラになったむくろは根に触れ、シュワッと消えた。



ヴォン、ヴォヴォヴォン。



爆音をとどろかせ、しづめ西国にしくにから溢れた闇を吸収。柱頭はガガの顔だが、叫ばずニヤリ。ソレはソレで不気味。



「ア、アアア。」


響灘ひびきなだに出て直ぐ、ウナが乗った舟まで花糸が伸びた。恐怖で顔を歪ませながら、必死で漕ぐ。



アイツは生かすか。


耶万に仕掛ければ『恐ろしい事にナリマスよ』って、シッカリと伝えてもらおう。にしても西国、腐ってるなぁ。オレが言うのも何だけど。



闇を宿して無いのは取り込まず、生かす。親無しになっても、どっかの社が何とかするだろう。真っ直ぐ育てよ、悪い大人になるなって、ハハッ。


オレに言われたくネェよな。悪い悪い。




プクッ、ブゥゥゥ。



実を付けたか。コレが割れれば、闇が光に変わるんダッケか。闇の力、凄いな。蛇が言ってたの、コレか。あの子が居れば耶万は・・・・・・。


うぅん、どうだろう。



なぁカズ。オレたち、大野の役に立ったのか?


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