表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
光芒編
795/1585

9-7 しっかり調べなきゃ


光江で子を攫おうとした罪で、耶万社やまのやしろに引き渡されたウナ。捕まえたのは耶万やまおみ、シイ。見た者、聞いた者も揃っている。言い逃れは出来ない。



腰に巻いていた縄は、引っ張ると解けるようになっていた。あかしとしては弱い。


けれど教わった家を目指さず、子に声を掛けて回っていた事から、攫う子を選んでいたと考えられた。




「ウゴゴ、ンゴゴゴゴ。」 ハナセ、ダシヤガレ。


縛られたまま檻に入れられ、騒ぐウナ。兎や鳥など、小さな獣を入れるモノなので身動き出来ない。


「黙れ、人攫い。」



シイは父に言われるまま、一山いちのやまに逃げ込んで助かった。母は生きているが、父は耶万で。兄であるおのがシッカリしなければ、死んだ父に顔向け出来ない。


生き残りが集められた時、『臣になって守ろう』と決める。もう誰も死なせたくない。



ウナが声を掛けて回った子は、妹や弟と同じくらいの子。泣きながら這って逃げる姿に、幼い弟妹が重なった。


許せない! 許すワケが無い。懲らしめてヤル。






「アコさま。光江の詰め所を聞きながら向かわず、子に手を出した男を捕らえました。転んだ子は泣きながら這って逃げ、『怖かった』と。」


「仕置場の横、調べのひとやへ。」



耶万には三つの獄が有る。


仕置場の横に建てられたのは、刑に処されるまで入る『待ちの獄』と、取り調べが行われる『調べの獄』。耶万の外れに立てられたのが、切り取られた罪人つみびとが入れられる、『垂れ流しの獄』。



「ンゴッ、ウゴムゴゴ。」 マテッ、ハナシヲキケ。



マズイぞ。オレは大王おおきみの使いで、耶万まで一人で来たんだ。人攫いじゃ無い。


子の腕を掴んで問い詰めたのは、逃がさず聞き出すため。攫おうとして声を掛けたんじゃ無い。どうすれば良い、どうすれば信じてもらえる。



・・・・・・調べの獄? 仕置場って事は、裁きが有るのか。


耶万の大王は気が短く、裁く前に嬲ると聞いたが。まぁ良い。社の司アコ、アレは子だ。耶万も多く死んだらしい。子に任せるなどハッ、愚かだな。



取れる。今なら耶万を取れる、搾り取れるぞ! 朝から夜まで、死ぬまで扱き使ってやる。覚えてろよ。



「と、愚かな事を考えてマス。」


心の声が聞こえる禰宜ねぎ、ザク。


「大王の使いなら、札か何かを持ってるハズ。」


癒しの力を持つ祝人頭はふりとがしら、ダイ。


「アヤシイな。」


守りの力を持つ育て、ヤヤ。


「大人は少ないけど、田畑には居る。だから詰め所を教えたのに向かわず、声を掛けて回った。」


清めの力を持つ祝女頭はふりめがしら、リキ。



話を聞く限り、真っ黒くろ。


先読の力を持つユイが見た通りになった。闇を通れるアサが光江まで行って、子に聞いて確かめたんだ。違い無い。



大王の使いなのに証を持たされなかった。それでも使いか? 祝の力が有れば判るけど、無ければ判らないぞ。


行った先に祝が居るとは限らない。なのに証を持たせず、他の国に行かせたのか。放り込んだのか、使いを。






「儺国の大王は、耶万を攻めるキッカケを探している。とすれば、どうだろう。」


社の司、アコが皆に問う。


「エッ。でも、なら証を持って無いのも。」


「うん。はじめから狙って、持たせなかった。」


「どれくらい兵が残っているのか、調べようと。」


「子に、声を掛けて回った。」



タイヘンだ! しっかり調べなきゃ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ