表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
光芒編
789/1586

9-1 違うと言ってくれ

新章スタート!


おにときが閉ざされ、一年ひととせ。まだ開く気配が無い。なのにいくさ、戦、戦。人は殺し合わねば生きられぬ生き物なのか? 奪わねば生きられぬのか。


人と妖怪の合いの子がポコポコ生まれ、人の世は大荒れ。しづめ西国にしくにと中の西国はひょうの者に任せられる。けれど真中まなか七国ななくには難しい、いやムリ。


損害を被るのは隣接する国。中の東国ひがしくにに負のアイテムが飛んできて、もうタイヘン。大問題のオンパレード。逃げられないよ、丸投げもダメ。さぁ、どう為さる。


光芒こうぼう編、はじまります。



隠の世が閉ざされ、一年。人と妖怪の合いの子、人から生まれた妖怪も、瓢の皆が片づけた。


ことなる国の民』として生きる妖怪たち。隠の世では無く、人の世の外れ。闇が集まるが、猫神の目が光っている地で暮らしている。


何か有れば直ぐ、隠の世が動く。



ありがとう、稻羽いなば。良い使わしめを持った。これからも頼むよ。ニヤニヤ。






大国主神おおくにぬしのかみ。そろそろ、御戻りください。」


使い兎、後ろ足をペシペシ。大国主神の使わしめ、稻羽は因幡いなばへ里帰り。出雲にはイマセン。




人から生まれた妖怪が暴れに暴れ、テンテコ舞いの忙しさ。もうギリギリ。そんな時、瓢の妖怪より『残らず狩った』と告げ知らせを受け、張り詰めていた糸がプチン。キュゥゥ、バタン。


オロオロなさる大国主神に呆れ慌てた使い兎、木俣社このまたのやしろへ。



話を全て聞き、クワッ。スゴイ顔して大社おおやしろに飛び込む、木俣神このまたのかみの使わしめ白兎しろう


稻羽が生まれる前から兎神に仕えていた白兎にとって、稻羽は我が子のようなもの。真っ赤な目で睨み、サッと連れ帰りましたとさ。


つまり、実家で療養中です。




「稻羽。」


「因幡に居られます。」


八上比売やがみひめ・・・・・・。ハッ! 」


ギギギと振り返ると、そこには。


「ナッ、にも。」


須勢理毘売すせりびめに見つめられ、冷や汗ダラダラ。


「えぇえぇ、何も。」


おっしゃらずとも分かります。






耶万やまに奪われた姫は。手掛かりは。」


ココ。九つになる末娘が攫われ、まだ戻らない。耶万め、許さん!


儺王なのきみ、耶万へ使いを送りましょう。」


「使い、だと?」



姫を、子を奪われたのは儺国なのくにだけでは無い。他の姫は殺されたか、死んだ。売られて生き残ったともを見つけ出し、聞き出したのだ。違い無い。


むくろは獣に・・・・・・。手足をがれ、打ち捨てられたと。



耶万の外れにある仕置場には、打ち捨てられた骸が散らばっている。見分けるのは難しい。だから皆、泣きながら持ち帰る。


取れたか抜かれたか、ついばまれたのか判らない。目も耳も無い、酷く傷ついた頭を。



「儺王。珂国かのくに対国ついのくにより、使いが参りました。」


「通せ。」



どちらも多くの人が攫われ、殺された。質を奴婢ぬひとして扱うなど、信じられない。珂国はおさの娘、対国は兵頭つわものがしらせがれ。他の子も死んでしまったのか?


頼むココ。どんな姿でも良い、生きていておくれ。






「耶万より戻った水手かこが飛び起き、叫びながら言いました。『子が囲いに入れられた』『耶万の毒を飲まされ、血を吐いて死んだ』『男でも整っていれば襲われ、差し込まれていた』など、聞くに堪えない事を。」


何だって! まさか九つの子にも、そのような事を。


「囲いに入れられた子の中に、我が娘は。」


・・・・・・違うと言ってくれ。


「珂の国長の娘、ミアと共に。」


「アァァッ。」


「私の倅も、ココ姫と共に押し込められていたと。戻ったつわものが。」


対国の兵頭が、泣きそうな顔をして言った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ