8-271 強か者
「アコさま!」
コロとキキだけでは無い。獄に繋がれていた者、全てが平伏した。
「私ども皆、生まれ変わりました。これまでの歪んだ考え、行いを改め正し、恥ずかしくないよう生きます。」
コレで終わらなかった。ワラワラとアチコチから人が集まり、涙を流しながらアコに手を合わせ、膝を折る。
「皆、深く感じ入って、敬い従おうと思っている。アコに心を傾けて、思いを寄せているんだよ。」
「ねェ照。蛇谷の祝は、どうだった?」
「皆、お日様みたいな人さ。ちょっぴり甘くて、滅びちゃったケド。」
シッカリしなきゃ。甘さを捨てて、厳しくしよう。社の司は人の長。耶万や、耶万に滅ぼされた国の人たち、全てを導くんだ。
「ありがとう。私は社の司として、耶万を守ります。皆さん、力を貸してください。」
ニコッ。
「大臣コロは大王、臣キキは大臣となり、耶万に尽くしなさい。」
社の司、アコ。
「何が言いたいか、解りますね。」
禰宜、ザク。
「話し合いでは無い。」
祝人頭、ダイ。
「逃がしませんよ。」
祝女頭、リキ。
「社の司は人の長。長の仰せです、従いなさい。」
育て、ヤヤ。
耶万社の離れに入るまでは皆、ニッコニコだった。なのに今は。笑ってますよ、コワイだけ。
五人の後ろに継ぐ子がズラリ。揃って目をギラつかせ、黙ったまま見つめている。
巫や覡と違って皆、祝の力を持っている。闇の力を持つのは、アコとアサだけでは無い。
コワイ逃げたい、断りたい。けれど、そんな事をすればスイのように。
「大臣ロロ。謹んで、お受け致します。」
としか言えないじゃナイか!
「臣キキ。謹んで、お受け致します。」
だから、殺さないで!
獄から出す時、コッソリ植えたんだ。闇の種。芽が出て無いから信じるよ。しっかりオツトメ、果たしてネ。ウフフ。
「耶万の行く先は明るいね。」
「そう、ですね。」
耶万神と使わしめマノ。見合ってニッコリ。
ぎこちない? 大目に見てください。ほら、みんな笑ってマス。コロとキキは、泣きながら笑ってますヨ。
「蛇谷の憑き蛇、照です。あの子たちは皆、歪んでいます。けれどもう、耶万から闇が溢れる事は有りません。」
嫌呂と悪鬼が見合い、首を傾げる。
「光の雨を吸った地は、暫く闇を清めます。イザとなれば、フフフ。」
楽しそうな照にコンコンず、真っ青。
「嫌呂さま、悪鬼さま。これまで、ありがとうございました。」
アコが深深と、頭を下げる。良い子だ!
「これからもイロイロ、宜しくお願いします。」
強な子だ。