8-268 総攻撃
この体、動き難いわね。何なの、股がオカシイ。無いから女、にしては胸が。サッサとココから出て、もっと良いのに移ろう。
シュン、シュシュン。
「何なぁぁぁぁぁ。」
体が熱い、焼ける。嫌よ、もうイヤ。
動けない。何なの、沈んでる。力が、やっと手に入れた力が吸われる。信じられない!
「グッ。」
苦しい。何よ、何なのよコレ。離れない。い、息が。
「ヴッ。」
痛い。切られた、刺されたぁぁ。
シュッ、ブン。ドシャ、ドバァ。
剣に刃、矢に礫。竹か縄か、撓う何がが当たって、切り刻まれている? 良く見えないケド、小さいから子よね。
逃げなきゃ。
妖怪からは逃げられなくても、人の子なら振り切れる。やっと手に入れた体、乗り換えるまでコレで行くしか無いのよ。
「ジンデ、ダマルガ。」
いろいろ備えたのに全てパァ。
どんなに努めても努めても、褒めてもらえない。比べないでよ、アタシはアタシ。側女から生まれたダケで父は同じ。なのにナンデ、正妃の子は。
違う違う、認めない。
兄さんは凄い。けど、ユイもユズも大したコトない。姿も形もアタシが勝ってる。みんなに好かれて、チヤホヤされてる。なのに、なのに。
イヤよ、聞きたくない。
アタシは求められて国守になった。アイツら? 死んだ。当たり前よね、アタシより目立ってたんだから。譲らなかったんだから。
「アタジダゲデ、イイ。」
四姫、それがアタシ。上のは皆、殺したわ。二と三は、あの女に似て美しかった。それに二は優しく、三は賢くてね。目障りだったのよ。
正妃の子は守られていて、手が出せなかった。だから二と三は、男に楽しませてから嬲り殺し。他の側女は母さんが。クック。
「ヒメバ、アタジダゲ。」
やっと消したのに、たった一人の姫にナッタのにナンデ。
敬いなさいよ、崇めなさいよ。殺されるようなヤツはね、殺されるような事をしたの。だから殺されたの。
生き残ったのはアタシ。アタシだけが生き残った。だから平伏せぇぇ。
「ギャァァァァァァァァァァ。」
闇の力が五つ。アキを的に、一時に攻め立てる。ジワジワゆっくり、削ぐように。直ぐには殺さない。タップリ嬲り、思い知らせる。
これまで、どれだけ殺した。どれだけ奪った。
何をドウしたって、死んだ者は戻らない。なら、誰が敵を討つ。残された者が苦しむのに、罪を犯した者が笑って生きている。許せるか?
「殺された者の全てを、タップリ味わえ。」
肉を細かに刻まれ、骨が顕に。腸がダラリと落ち、胃に気管、舌までズルリ。叫ぶ事も出来ない。
胃肋に守られていたアレコレ、穴だらけ。逃げようにも骨だけなので、どうにもナラナイ。