表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
780/1585

8-264 皆は、どうだい


厳しい冬が去り、待ちに待った春、きたる。


長かった。冷たい風に吹かれ、木や岩にち当たり舞う。そのまま叩きつけられ、ピキンピキン。逃げようにも逃げられず、そのまま凍った。



雪が解けて、土に飲まれる前に動いたわ。風が無いから飛べなくてね。あぁ疲れた、疲れた。日に当たって乾かして、やっと乗ったら川ポチャ。


ドロンドロンなのに沈まなくて、死ぬ気で這い出た。日を浴びた岩にピッタリくっついて、身軽になるまでジッと待ったわ。




「ハァァ、信じらんない。何よ、なんで私がコンナ。」


こんな姿、誰にも見せられない。


「私は四姫よつひめ、姫なのよ。なのに、どう見ても。」


なに!


「何でも良いから食わなくちゃ。乗っ取るなら人が良いけど・・・・・・。」



イキナリ何かに掴まれて、そのまま食われた。慌てて逃げようとしたけど、ビクともしなかった。取り込まれてグチャグチャになって、飛び散った。


いや違う、燃え上がったのよ。



骨も、灰も残らない。そう思ったから思いを集めた。


空に吸い込まれる前に、木にかじりついたわ。この私が! おので切り取ったんじゃないから、思うように動けない。それでも何とか残った。




「三つも植えたのに。」


なぜ一匹も応えない。


「死んだ、殺された、消された。」


としか考えられない。


「ユキのヤツ、また。」



昔から嫌いだった。


ユイとユズは親が同じだから、兄さんにベッタリでも良くないけど良い。でもユキは、祝の力が有るってダケでチヤホヤされて許せない!



「ブフッ、乗っ取ってヤル。」


その前に耶万やまに寄って、腹拵はらごしらえ。


「耶万って確か祝の子、居たわよねぇ。グフフ。」


どんな味がするんだろう。楽しみぃ。






「クベ。」


「引こう。」



間違い無い。アレはうねに捨てた腰麻こしまのアキ。あんな姿になっても、まだ死なないのか。サッサと消えろよ。



「フタさん、アレはイケナイ。オレたちにドウコウ出来るヤツじゃ無い。」


「そうだな、急ぎ話し合おう。集まるならココから遠い、加津が良い。」



アレは風に乗ってフラフラするダケ。己で動けない。


耶万に辿り着くまで、時が掛かるハズ。春、初めて吹く風は南寄り。北へ流されれば風見かぜみ、大貝山。


ブンブン振り回されて会岐あき、大石、千砂ちさ、加津に飛んで来たらドウする。そうなる前に捕らえて、壺にでも閉じ込めたい。






「マズイ事になったな。」


話を聞いたミカが呟く。


「北へ流されても、そのうち戻る。」


「フワフワのままなら良いが、何かを乗っ取れば。」


フタとモトが見合い、溜息。


「その時は、オレの闇で包むよ。」


サラリとクベ。


「この地は大貝山の統べる地。御知らせするなら耶万の前に、大貝山だとオレは思う。皆は、どうだい。」


ミカに問われ、コクリと頷いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ