表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
乱雲山編
78/1628

5-5 なぜ

エン様は望まれた。霧雲山が統べる地を、見守ってほしいと。だから、手を貸す。この地のためじゃない。




「ブラン。」


カー様の御姿は、変わらない。若く、美しいまま。優しく微笑み、民を導かれる。


「祝辺の守は皆、甘い。従える力を持つのに、使わぬ。傲慢で、愚かだ。」


私も、同じ考えです!


「いずれ、この地も?」


「見守るよ。」



遠く離れた、異国。霧雲山の統べる地を見守るのは、エン様との約束だから。


化け王の領地になれば、幸せに暮らせるのに。可哀そうだとは思うが、仕方ない。



「ブラン。ジロとは、村長か。」


「いいえ。特別な才能を持つ、狩人の長でした。春、老衰により、死亡。その孫コウにも、何かが、と。」




「・・・・・・守るなら、すべて守れば良いものを。」


化け王は代々、平和主義。中立を守るためなら、手段を選ばない。


欲深い、大王のような為政者を、ひどく軽蔑し、切り捨てる。判断を誤れば、祝辺の守であっても。



カーは理解に苦しむ。この程度の領土なら、苦も無く統べられる。


狭い地に、多くの小さな国。なぜ、統一しないのか。



中には優れた長もいる。祝という、柱も。祝辺の守が王となり、優れた者を臣下とし、治めれば良い。


人口が増えれば、戦が起こる。食べ物が足りなくなって、奪い合う。



収集の才を使えば、不可能を可能に出来る。しかし、人よ。お前たちには、才がない。祝の力では、救えない。





「アァァァァァァ。」


低く、不気味な声が響く。悪しきモノ、どす黒いモヤが叫ぶ。



狩り人に狩られた獣から、魂を奪う。奪って、奪って、釜戸山の、妖怪の墓場へ。



「使えないわね。」


魂を奪うには、そそのかし、操らなければ。



釜戸山の仕置場へ。罪人から・・・・・・奪えない! 奪おうとすればするほど、奪われる。


干乾びる前に、逃げた。



「アァァァァァァ。」


悪しきモノ、どす黒いモヤが叫ぶ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ