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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
779/1588

8-263 待ってるんだよ


雪が解け、陽がポカポカと暖かい。ちびっ子じゃなくても駆け回りたくなる。狩り人たちはイソイソと森に出掛け、獣を捕らえる罠を仕掛けた。



「モトさん。森でシシと熊、狩ろうよ。」


「あのな、ヨヨ。やしろの事なら教えられるが、山の事はサッパリだ。」


「じゃぁ、狩り人に教えてもらおう。ネッ!」


「・・・・・・この感じ。」


「シシ? 熊?」



大磯川に何か、悪いモノが入った。流され、いや溺れている。早いな。


「ヨヨ、千砂ちさに居なさい。私は川を上がり、吹出山を見てくる。」


「ボクも行く、シシ狩る。悪いのは山、越えないよ。」


「狩りに行くんじゃ、ん。」


「悪いのは山の少し前で、川から出るんだ。それからフタさんが女の子と見張って。そっから分かんない。」



ヨヨに先見さきみの力が? そうならフタと女の子、ミイの事か!


「見えるようになったのは、いつから。」


「うぅぅん。千砂が開かれてから、かなぁ。でもボク、モヤモヤしか分からないよ。」



見えるのは闇だけ。他の先は見えない、分からない。というコトは、闇の動きを変えられる。闇に限られるが、千砂を守る大きな力になるぞ。



「スゴイぞ、ヨヨ。直ぐ皆に知らせよう。」


「モトさん。モヤモヤ、川を出たよ。」


「エッ、分かるのかい?」


「うん、川ならね。『何となぁく』だよ。」



ウチの子、凄い! 急いで会岐あきに伝えよう。モヤモヤが何なのか分からないが、良いモノで無いのは確かだ。


もし腰麻こしまのモノなら、力を得るために食らう。人でも獣でも構わず、バクバクと。






「そうか。その闇が何なのか分からないが、クベを誘って見に行くよ。」


「フタ。ミイに変わったトコロは。」


「カンが良い、いや鋭いな。心の声がドウコウでは無く、ビビッと伝わるらしい。」



クベはミカ、腰麻のユキと共に、国守アキをうねに捨てに行った。モヤモヤが腰麻のなら、直ぐに判るだろう。



もしアキの闇が残っていたなら、耶万やまにも知らせなければ。


良那らなから戻った継ぐ子が、社の司に就いたと聞く。母は蛇谷の祝で、闇を光に変えられるとか。



「ミカには私から。ヨヨの話を聞く限り川を下ったモヤモヤは、フワフワ漂っているようだ。気を付けてな、フタ。」


「ありがとう、モト。」



ミイを社に預けて確かめに行こう。クベが『腰麻のだ』と言えば、耶万にも知らせる。違ったら、クゥさまに御頼みする。



腰麻の人に植えつけられた、アキの闇は三つ。


四妖がかりで片付けたが、他に残っていてもオカシクない。モトが言うんだ。モヤモヤに、アキの闇が。




「ミイ、少し出てくる。」


「はい。いつでも行けます。」


ニコッ。


「いや、会岐に・・・・・・。」


ウルウル。


「確かめたら直ぐ戻る。だから、待ってるんだよ。」


コクンと頷くミイの頬を撫で、フタが優しく微笑んだ。


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