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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
772/1585

8-256 無駄に出来ない


会岐あきの西、吹出山のふもとにある吹出社ふきでのやしろ。小ぶりな山が三つ連なっており、黄泉平坂よもつひらさかに繋がっている。



吹出神ふきでのかみより御許しを得た。迷うとイケナイから、私も光江まで行く。良いね、アサ。」


「はい、マノさま。」



罪人マツを光江へ移す。


生きたまま魂を抜いてから、悪鬼おきさまの闇を外す。だから為損しそこなっても遣り直せる。『イタイのはマツだけ』なんだって。



人のときの外れに有るひとやは、前を通る死人しびとに丸見え。


わぁ、にぎやかだな。きっとアレだね、マツが入ってるの。アッ、悪鬼さま。モフモフだ。



「よろしくお願いします。」



マツから魂を抜き、植えられた悪鬼の闇を外す。


吹出神の使わしめ、羽葉うばがニコリ。アサはマノと共に獄に入り、転がっているマツを闇に入れた。



闇に沈めた事は有るが、入れたのは初めて。チョッピリ重かったようで、パチクリしてから頷いた。イケルらしい。



「羽葉さま、悪鬼さま。ありがとうございました。」


アサがペコリ。


「気を付けて。」


人に化けた羽葉に撫でられ、ニッコリ。






マツは考えた。どう前向きに考えても助からない、逃れられない。悪い事をした? それが何だ。人を攫って売り払うなど、皆やっている。



なぜオレだけが責められるんだ。やった事は認めるが、オレは悪くない。


裁きだ、認めるまでは生かされるハズ。どんな扱いを受けても、やった事しか認めなければ殺されない。死んでたまるか、生きてやる。




「どうしたの、ユイ。」


「リキさん。真中まなか七国ななくにから、つわものが送られてきます。海神わだつみのかみが、御力をふるわれたのでしょう。とても早い。」


「エッ、それって。」


「はい。光江で裁いている時に、押し寄せます。」


「アコ!」



ユイの先読は確かだ。急に見えたのは、神が御力を揮われたから。気紛きまぐれ? 違う気がする。



「・・・・・・纏めて片付けよう。」


「片付けるって、どうやって。」


「真中の七国が言う事、求める事は一つ。耶万やまに過ちを認めさせ、組み込む事さ。」


「はぁ? いきなり攻めて来たのはアッチだぜ。」


「そうさ。でもね、ザク。ヤツらは認めない。耶万を組み込んで、やまとを統べる気なんだ。」


「ハッ! 七国だって纏められないクセに。」


継ぐ子のキヤが、吐き捨てるように言った。



耶万は戦好き。アチコチの国に仕掛け、攻め入った。


けれどソレは、近いトコロの話。海を越えて仕掛けたり、攻め入ったりシナイ。そんな力は無い。だから北、霧雲山を目指したのだ。大いなる力を求めて。



いくさを仕掛けるなら使いを出す。今のトコロ来て無い。ってコトは言うだけ言って、ザッと攻める気だ。」


「はい、アコさま。その通りです。」


頭を抱えながら、ユイが言い切る。



物凄い勢いで先を読む。


ユイはタエと違い、先読の力を生まれ持ったワケじゃ無い。清めの力を持つリキ、守りの力を持つヤヤに支えられて、やっと立っていられる。



割れそうな頭をガンガン使って、目を剥き泡を吹きながら、命を削って読んでいるのだ。


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