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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
771/1584

8-255 放しちゃダメよ


スイ、コロ、キキの三人は裁きを受け、ちょん切り台で垂れ流している。次に裁くのは二人。光江の水門頭みとがしらマツ、大野のガガ。


マツは吹出山、ガガは浅木のひとやに入れられている。




「ガガは釜戸山で、玉と根を切り落とされた。浅木では心と体を切り離され、聞き分けの良い幼子おさなごのよう。つまり、死んでイナイだけ。」


アコの話を黙って聞いていたやしろの皆、ポカン。


「『耶万やまに引き渡すまで死なせるワケには』と、闇に守られている。だからず、マツから裁こうと思う。」


追加説明を聞き、パチクリ。


「みんな、聞いてる?」


アコに問われ、ハッ!


「うん、良いと思う。ガガの魂って、元に戻せるの?」


禰宜ねぎザク、ニコリ。


「好きな時に戻せると、浅木の祝が。」


・・・・・・浅木の祝、スゲェ。


「ねぇアコ。ガガは分かったけど、マツはドウやって運ぶ?」


祝女頭、リキが問う。


「うん。ソレなんだけどアサ、闇の力で運べないかな。難しいなら、そう言ってね。」


「闇に引き込んでポンと出せます。だから出来ると思うけど、死んじゃうかも。と、思います。」


シュンとして、キリッ。



マツは吹出山の獄に繋がれ、休みなく刺さる言の葉のやいばに耐えられず、今にも心が砕けそう。


闇に囚われ動けない魂を清めるため、何としても耶万で裁く。砕ける前に引き摺りだし、痛めつけ罰しなければ。



「じゃぁ、魂を切り離そう。出来ますよね、マノさま。」


祝人頭ダイ、ニッコニコ。隠れて聞いていたのにバレました。


「ウム。アコよ、ドコで裁く。囚われた魂の多くは、光江に集まって居るが。」



いくさやぶれ、耶万に組み込まれた国は多い。


うね、安、大野、安井、久本、井上に集まっていた魂は纏めて、耶万神やまのかみより清められた。けれど・・・・・・。



「救いを求めて集まった魂も、諦めて光江に。」


アコがボソッ。



大祓おおはらえの光に吸い寄せられるように向かったが、間に合わなかった。清められずに取り残された魂は、常世とこよの国を目指す。


海神わだつみのかみはばまれ、押し返される。



そういうワケで光江は今、身動き出来ない魂や闇の『溜まり場』なのだ。




「アコ、気にするな。魂を切り離されたマツを、アサが光江に運ぶ。ソレで行こう。」


育てのヤヤに言われ、アコが笑った。


「軽いよ。」






出来ないと思うから出来ない、難しいと思うから難しい。ヨシ、出来る。難しくナイ!


「始めます。」


キリッとして、闇に飛び込んだ。



耶万から西へ。大石と会岐あきの国守が、闇で道を示してくれる。そのままグングン進めば、吹出山のふもとに着く。


あの山は許し無く入った闇を、根の国へ送り込むから危ない。マノさまと行かなきゃ。




「アサ。コッチだ、コッチだよ。」


「マノさま。お待たせしました。」



黄泉平坂よもつひらさかって落ち着くなぁ』なんてコト考えながら、フワフワ浮かぶマノの尾を持ち、トコトコ進む。


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