8-254 縮んでも切れます
スイが動けなかったのは、闇が芽を出したから。いろんな穴から血が噴き出したのは、闇が根を張ったから。
「スイの顔とか、黒い・・・・・・筋?」
「腕とか、浮いて、る?」
「足も凄いぜ。」
「ピクピク? ビクビク? 動いてる。」
「ってか臭い。」
揃って、コクンと頷く。
「大きいのも漏らし、ましたね。」
鼻を抓みながら、アサ。
ココは昔、多くの人が命を落とした仕置場。誰も近寄らない。グルッと囲ってあるが、丸見え。
「聞こえているだろう、スイ。頭には伸びないように拵えたんだ。顔に伸びたのは、チョットだよ。」
ニコッ。
「ア、アアア。アアアア。」 ク、クルナ。バケモノ。
「あれ? オカシイな。話せるハズだけど。」
話せる? んなワケあるか! ボコボコして気持ち悪い。体の中を細い虫がって、考えるダケで吐きそうだ。
オレが何をした。祝を攫って、大王に差し出したダケじゃないか。楽しんだダケじゃないか。オレだけ? いや違う。他にも居たぞ、いっぱい居た。
テメェは大王の倅、死んだ大王の倅だ。オレは今の大王、耶万の大王はオレ! 社の司が王に、大王に何をした。許されると思うなよ。
ッグ、グルジイ。
「ソレ、闇を吸って育つんだ。心を入れ直して、清らに生きなよ。じゃなきゃ死ぬよ。」
「ふざァァァァァァァァァ。」
ドッバァ。
「ああっ、アコさま。コイツ、これでも王です。」
「ど、どうか。ゴクリ。お助け、くっ、ください。」
コロとキキが震えながら、スイを庇う。
スイが死んだら、次は。嫌だイヤだ、それだけは嫌だ。コイツが生きている限り、闇を植えられる事は無いハズ。・・・・・・だよな。
あんなの植えられたら、きっと苦しみながら死ぬ。そんなの嫌だ。せっかく助かったのに、生き残ったのに、死にたくない。
「・・・・・・ハァ。」
六人揃って、溜息。
「サクッと切り取ろうか。」
明るい声を出して、アコ。
「そうだね。」
ニコニコしながら、ヤヤ。
「じゃっ、出しますね。」
アサが闇から、ちょん切りセットを押し出した。
ここっ、これは。まま、間違い無い。切られる、切り取られる。嫌だぁぁ。
「逃がさないよ。」
罪人の足が闇に埋まり、尻餅をつく。
「アサ。そのまま大きく、開けるかい?」
「はい、ダイさん。こんな感じですか。」
罪人ども。ちょん切り台の前で、オープン。
「ヤメロォォォ。」
シュパッ、ポロン。シュパパ。ポロ、ポロリン。
切れ味抜群! 安心の磨製石器。日本では縄文・弥生時代に盛行。局部磨製と全磨製とが有りマス。
「アァァァァ。」
猿轡するの、忘れてました。
「煩いよ。」
大きく口を開いていたので、布を丸めて突っ込んだ。