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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
766/1586

8-250 穴があったら入りたい


耶万社やまのやしろの継ぐ子たち。親から託された子を引き連れ、続続つぎつぎと戻る。


初めに着いたのは、ザクとリキ率いる大倉班。次に着いたのは、ダイとヤヤ率いる大稲班。



東を目指した人も、多くが助かった。万十まとが狩り人を出し、探していたから。川を下った人は、海まで出られれば助かった。大浦と近海おうみが、探しに出たから。



耶万やまから逃げるよう、伝えられたのに残った人は死んだ。ザクたちが逃げ出したと知り、慌てて飛び出した人の多くが、行倒れた。


海まで行けなかった人たちも、残らず死んだ。光江や悦に捕まり、真中まなか七国ななくにへ送られて。






「アコ・・・・・・。アコだ、アコが戻った。」


ヤヤが大声を出し、皆を呼ぶ。


「おかえり、アコ。」


タッと駆け寄り、抱きしめる。


「ただいま、リキ。」



中の東国ひがしくには閉ざされているが、統べる地は開いた。しづめの東国に南国みなのくに、四つ国も同じ。内だけ開いたのだ。


統べる神がはかられ、御決め遊ばす。『鎮の西国にしくに、中の西国、真中の七国。開いている三つから、悪しきモノが全て滅びるまで開かぬ』と。



よってアコは良那らなの国守、オトに連れられ、耶万に戻ったのだ。大倉や大稲など、妖怪の国守が居ない国は、使わしめが付き添った。



耶万社では、饗応の真っ最中。嫌呂きろろ悪鬼おきは、手伝いながら情報収集。


『耳と目で、得られる全て持ち帰る』


コンコン、心の俳句?






「スイ。良那から継ぐ子か戻った。」


狩り人だった耶万の大臣おおおみ、コロ。


「はぁ? 寝言は寝て言え。」


水手かこだった耶万の大王おおきみ、スイ。


「オレもコロも、起きてるよ。」


釣り人だった耶万のおみ、キキ。



死んだ社の司タクが、良那にやまいを撒くために送り込んだ。大王の子だから生かされてたダケで、追い出されたんだろう。確か、そう聞いた。



戻るワケない、死ぬだろう。真中の七国とかに、散蒔ばらまかれたヤツだぞ。祝の力が無いから捨てられたんだ。


あれ? 違ったっけ。



頭がガンガンする。もやが掛かったような、ヴッ。気持ち悪い。オカシイ、オレ何か悪いモンでも食ったかな。


おかに居るのに揺れてる。歪んで見える。




「オイ! 聞こえるか、スイ。シッカリしろ。キキ、誰か呼んできてくれ。」


「分かった。」


コロが駆け出す。



スイは王のつるぎを探して、『耶万の夢』が隠してある倉に夜、灯りを持たずに忍び込んだ。幾ら月が満ちていても良く見えない。


手探りで進み、何かを引っ繰り返した。



頭から浴びたソレは、ずっと前に風見かぜみから納められた、いろんな毒の残り。剣を探しに入ったら、トンデモナイ事に。


吸い込んだダケなので、死にはしない。けれど暫く、苦しむだろう。







「アレが大王ですか。」


大稲神おおいなのかみの使わしめはじめ大倉神おおくらのかみの使わしめ雨雲あも殺神あやかみの使わしめ海布みめ。三蛇、仲良くボツリ。


「お恥ずかしい。」


『穴があったら入りたい』と思う、耶万神やまのかみの使わしめマノ。黒蛇なのに、顔が赤い。


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