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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
761/1586

8-245 闇を調べよう


生まれつきのワルは居る。誰が、どのように育てても、どうにもならない。豊かな国で生まれ、慈しみ育てられても歪む。



早稲わさのタツは悔いた。良那らなのヨシは諦め、死を受け入れた。



腰麻こしまのアキは救いようが無い。アンナとマリィに食われても、あらがい続けた。おのを切り取り切り分け、人に植えつけ残した。


直ぐに消されたが。



良い人も居るが、人は恐ろしい。これから先、どれだけ多くの闇が溢れるのだろう。考えたく無い。けれど、向き合わねば。






「何とか。」


「えぇ。けれど。」


「気になりますね。」




集水神あつみのかみ水引神みずひきのかみ誘神いざなのかみ。三柱は狭間はざま守神もりがみ


望日もちのひ和山社なぎやまのやしろつどいましてはかられる。やまとに渦巻く闇を切り取り、調べた末を持ち寄り、推し量るために。



おにときが閉ざされ、和山社に集えなくても議る事は出来る。しづめ東国ひがしくに、中の東国、南国みなのくに、四つ国は、それぞれの地で。


鎮の西国にしくに、中の西国、真中まなか七国ななくには出雲、木俣社このまたのやしろで。




中の東国では霧雲山、鎮野社しづめのやしろにて神議かむはかり。


根の国へ繋がる道の出入口を守り、取り仕切る神で在らせられる。山守も祝辺はふりべも手を出せない。



耶万やまで溢れた闇には他と違い、根の国の闇が混じってた。だから、あれ程の大祓おおはらえを。


このだび集山あつやまでの大祓。ヨシが宿した闇は、これから調べる。けれど、あの濃さ。




「耶万の神倉ほくらに納められた、闇喰らいのつるぎ。」


大貝神おおかいのかみの使わしめが、包み直したと聞く。」


大蛇神おろちのかみの抜け殻は、使えぬのか。」



三柱の御考えは同じ。地蜘蛛の大妖怪とはいえ、土は使わしめ。神の御業に比べれば可愛かわいらしいと言うか、控えめと言うか。



「鵟神に御願い申し上げ。」


「確かめると?」


「・・・・・・アコが戻る前に、一度ひとたび。」



蛇谷の祝の子だが、春になれば社の司として戻る事が決まっている。耶万を立て直すため、力を尽くすだろう。


アコの他にも、祝の力を持つ子が四人。万十まと氛冶ふや良那らな岸多きした、浅木も付く。



困った事に耶万の王、スイは狙っている。人の世では『王の剣』と呼ばれる闇喰らいの剣を。あの男が叢闇むらやみの品を知れば、全て求めるだろう。


その時、動けるのか。




「この度、清めきれなかった事。」


「気に病んで居る。」


いたくは無い。」



闇に魅せられたスイには、直ぐにでも闇を。とは思うが、決めるのはアコ。



「急ぎ闇を調べ、明らかにしよう。」


「あれこれ悩むのは、その後に。」


「そうと決まれば。」






「動いたな。」


めぐし子マルに早く会いたい、大蛇神。


「大蛇神。一度、狭間の守神を社へ。」


キリリと、鵟神。


「鎮の西国は郡山こおりやま、猫神。中の西国は因幡いなば、兎神。真中の七国は粘網山ねあみやま、蜘蛛神。狭間の守神に急ぎ『闇を調べ、伝えよ』と。他は通さぬよう、頼む。」


蜷局とぐろを巻きなおし、大蛇神。


「はい。」


キリッ。


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