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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
乱雲山編
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5-3 そして

祝辺の守は、神ではない。当代は、人。他の祝は、死してなお、務めを果たしている。


おにでも、祝は、祝。妖怪の類だが、清らか。ずば抜けた力を、持ち続けている。


山守神より、祝辺の守へ。貰い受けた霧雲山を、守るために。


守は、争い事を、ひどく嫌う。内乱は大目に見るが、侵略行為など、以ての外。よって少々、活動的なのだ。




山裾の地を欲した、風見の国。とはいえ、大国揃い。兵を集めるため、畏れ川沿いの村を、次々と攻める。勝ち戦により、気が大きくなっていた。


何が起こっているのかも知らず、兵を送り続ける。狙うは、玉置。


三鶴、北山、東山など。他の大きな国が、加わったのかもしれない。そう思い、次々と。


思うようにならず、痺れが切れた。畏れ川からも攻め、挟み撃ち。しかし、阻まれる。




「悪しき思いを抱く人、霧雲山の統べる地へ。」


使わしめコロ。急ぎ、申し上げる。


「かかれ!」


火炎神、犲を放つ。



神にとっては、愛らしいモフモフ。しかし、人にとっては・・・・・・。




風見の長は、決めた。夏の終わり。倅を二人ほど、山裾の地へ送り、下ごしらえをさせよう。


加えて、更に多くの兵を、集められるだけ、集める。攫って、攫って、攫って、送る。畏れ川沿いの村々へ。強い男を集める、そのためだけに、潰す。



戦は、短く。早く終わらせるには、量より質だ!




「よくもまあ、次々と。」


「諦めれば良いものを。」


「何も、知らぬのだ。」


「愚かよのぉ。」


祝辺の守たち。言いたい放題。



「そろそろ、動くか。」



統べる地を治めるのは、神。しかし、霧雲山に於ける、事実上の統治者は、祝辺の守。山守神は、見守り一択。


向き不向きがあるとはいえ、丸投げするのは、如何なものか。


それはさて置き。人の守は、霧雲山を。ひとつ守から前の守、即ちおにの守は、統べる地を。全身全霊を捧げ、守り抜く。


使えるモノは、何でも使う。資源の節約、環境汚染の防止。何の役に立たない、ない方が良いモノなんて、存在しない。すべて、再生可能!


厳しい規律、鍛錬を重視する、厳格な教育を受けた妖怪たち。守の手足となって、キビキビ働く。




「稲田の子。十の女の子、ツウ。八つの男の子、コウ。釜戸山から、乱雲山へ。」


雪のように白い鷲、ブラン。優秀な諜報員である。


「風見の動きは。」


「畏れ川沿いの村々。男を攫うため、まず縛り、舟に乗せてから、滅しております。」



稲刈りが済めば、動くだろう。まず調べ、それから。狩り人が来るのは、春か。


ジロの孫、コウ。風見に知られては、ならぬ。


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