表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
756/1586

8-240 なぁんだ


エッ! 早稲わさから集山あつやま。それも集水谷あつみだにまで、人の子を?


いえ、夜なら何とか。人に見られるとイロイロ。はい、どう考えても大騒ぎ。試す? おめください。



「一つ、よろしいでしょうか。」


早稲社わさのやしろを通して、和山社なぎやまのやしろと通信中。


「力及ばぬ、運べぬと。」


「いえ、運びます。」


キリッ。



集水谷は険しく、深い。四つ足の獣すら怖がり避ける。鳥にとっては、夢のような地。つまり、足を踏み立てる所が無い。


いくら祝の子でも、力をふるえるとは。



足を滑らせば、アッと言う間に水底みなぞこへ。


集水神あつみのかみの御力で、凍らせるのですか? 人の子が飛び跳ねても、割れない氷を張れるのですか。



しい考えしか持たぬヨシは清めなければ、きっとわざわいもたらします。ですがアコは。アコを失えば、多くの命が奪われるでしょう。




「ウム。」


さねの言う通り。足場の悪い場所で力を振るえば、水底へ真っ逆さま。


大蛇神おろちのかみ。集水神は、水神でも在らせられます。集水湖あつみのみずうみごと凍らせずとも、一つに絞り支えれば耐えるのでは。」


「そうなのか。」


「そうですね。絞れば、大熊が跳ねても。」


サラリと集水神。



話し合いのすえ、決まった。早稲から実がヨシを連れ、良那らなからスオがアコを連れ、集水谷へ。


水引社みずひきのやしろからは美水うみ集水社あつみのやしろからはさわ。狭間を守る神の使わしめが、力を合わせて支える。



万が一に備え、集山を閉ざす。ヨシを逃がさず清めるために。闇が溢れても、収められるように。






「カツ。ヨシの事で話がある、ウチに来ておくれ。」


「そうか。行って来るよセイ、ユユ。カナ、戻るまで頼む。」


「ワン。」 オマカセクダサイ。



社の司に声を掛けられおさのヒト、大臣おおおみのヌエ、狩頭カツが、シギの家に集まった。



「休んでいたのに、すまない。急ぎ、伝える事があってね。」


「シギ。もしかしてヨシに、悪いのがいたのかい。」


カツが問う。


「獣では無く、闇にね。」


弱弱よわよわしく笑う。



来た時からオカシイと思ったんだ。あの歪みっぷり、タツより酷い。似てるんだよ、あの二人。考えが幼すぎる。オレが言うのもナンだけど、ありゃマズイぜ。



「で、神の御怒りに触れたと。」


ヒトがサラリと、コワイ事を。


「いや、そこまでは。ただ、清める事になった。」


シギ、大慌て。


「清める? 殺さないのか。」


ヌエが、更にコワイ事を。


「オイオイ。殺すに決まってるじゃないか。」


明るい声で、カツが言い切った。




「闇の力を持つ祝が、ヨシを清めます。」


ポカンとするさねの隣で、ニッコリ。


「シギにも凄い力、有るのかい。」


兄弟の目が、輝いています。


「アリマセン。」


分かりやすく、ガッカリされました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ