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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
754/1586

8-238 清めても、消えぬ闇


人のときおにの世の狭間はざまには、濃く深い闇が溜まりやすい。渦巻く闇に引き寄せられ、多くの妖怪が生まれた。


それを重く見た隠の世は急ぎはかり、大社おおやしろへ使いを出される。『生き物の命を奪い続けた禍津日神まがつひのかみに、狭間を守らせては』と。


言うまでも無く、お願いでは無い。



人の世と隠の世は表と裏。いつでも好きな時に、ブスリと出来る。何をしても、どんな事が有っても隠は隠。その気になれば・・・・・・、何だって。



闇が渦巻く狭間の中で、生き物が立ち入れない。


谷底や水底みなぞこ火口ひのくちの中。山そのものがあがめられ、強い力を秘めている。その全てを満たすのが、狭間の守神で在らせられる。



八百万やおよろづの神の国、やまと。けれど守神は、百柱ほど。


人の世の果て、生き物が暮らせない地に御坐おわす神。その一柱が集水神あつみのかみ。治めの地は、集山あつやまのみ。






早稲わさの団子は、いつ食べても美味おいしい。」


パクパク、モグモグ。


「それは何より。」


サシコミ、治まったのですね。



集山と良那らなは、決して近くない。離れている。浜木綿はまゆふの川を下り、集水川あつみがわへ。流れに逆らって漕ぎ、やっと辿り着く。


集山の真中まなか集水谷あつみだにの底。狩り人も近寄らぬ。


使いも出さず、早稲まで何を。守神で、山と水の神。使わしめさわに、先を見る力は無い。




「良那のヨシ。アレはね、人の手に余る。」


「眠っている間に清めるのですが、日に日に。」


「隠の世が開いていれば、奥津城おくつきに。けれど閉ざされ、難しい。」


「それで、御自おんみづから?」


・・・・・・ニコッ。



違う。とすれば、エッ!



「その通り。清めても清めても、消えないのです。」


「ヨシが集山に居たのは。」


「日が傾いてから、暮れるまで。」



そんな短い間に根を張ったのか。集山のはしから、人の世の果て。狭間まで届く闇を。




「その話、詳しく。」


和山社なぎやまのやしろへ、御伝えします。」


嫌呂きろろ悪鬼おき、モフンと参上。



何かイヤな感じ、したんだよね。で、辿たどったら早稲。オカシイんだ。ちゃんと清めてるのに消えない。だからコッソリ、見張ってたんだヨ。


逃げ込んだんじゃナイってコトは、直ぐに分かった。だってココ、ひとやだもん。早稲には、閉じ込められる家が有る。だから、森の中には隠さない。






一山いちのやまに真っ青な顔をして、妖狐が飛び込んできた。許し札を掲げて。サッと輿こしに乗りビュンと、和山社へ。



「急ぎ、参りました。」


大蛇神おろちのかみに、御目通りを。」



人の子が、祝の力を持たぬ子が闇を纏った。国つ神が幾ら清めても、消えぬ闇。守神が狭間を離れ、切るような闇を、人の子が?


祝、清めの力が有れば。


早稲の辺りだと、谷西たにしか。行けなくは無いが、人には遠い。いやそう。二柱が力をふるっても、清めきれない闇だ。マルのように、強い力を生まれ持たなければ。


・・・・・・アコ。蛇谷の祝なら、闇の力で。


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