表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
753/1585

8-237 狐を化かすなど


ハハッ、解ったぜ。オレは王になるためにココまで来たんだ。厳しい早稲わさで鍛えりゃ、強くなれる。生温なまぬる良那らなに居たんじゃ、腐っちまう。


言ってたじゃないか。『腐ってる』って、早稲の偉い人が。良く来るヤツらも『腐ってんだろう』ってさ。



「危ないアブナイ。」



手遅れになるトコだったぜ。役に立たないと思ってたけどトシ、褒めてやる。オレが良那から助け出されたのは、トシが死にかけたから。



「グフッ。グフフ、グフフフフ。」



ヨシの気持ちの悪い笑い声が、ほらの中にガンガン響く。見張りの犬が立ち上がり、後退あとずさるホド。






「親の言い付けを破るヤツに、なれるワケが無い。」


愚かなヤツに、オレの凄さは分かんねぇ。


「弟を殺しかけたヤツが、偉そうに何を言う。」


テメェが愚かだから、分かんねぇんだよ。


「言の葉が通じないとは。」


オレサマの凄さが分からねぇヤツは、サッサと死ね。


「構ってもらえず、狂ったか。」


オカシイのはテメェだ。



ブツクサぶつくさ、何を言ってんだコイツ。毒キノコとか変なの、持ち込んだか。目がオカシイ。いや待てよ、この感じ。タツと同じだ。


マズイな。このままじゃ早稲にも良那にも、良くない事が起きる。死なないように鍛えるツモリだったけど、急ぐか。



「クゥン?」 サネサマ?



こんな所に、早稲神わさのかみの使わしめ。うん、おかしい。何を・・・・・・。誰かと、話してるのかな。


ドコにでも居るワンコだから、オレには見えない聞こえない。けど何となく、そんな気がする。






さわさま。わざわいの種に、何か御用で?」


「これはさねさま。お久しぶりです。」



集水社あつみのやしろは津久間の地、早稲は大貝山の地。どちらも閉ざされ、行き来できるのは人のときの生き物。統べる神、治める神に許された者に限られる。


それダケでは無い。村から離れた森の中とはいえ、ココは早稲。御籠りだが、御坐おわす。



いく狭間はざま守神もりがみでも、許し無く。それも、姿を変えてまで。」


「おや、見破られましたか。」


カッカッカ。



御声で判りました。狐を化かすなど、千年早う御座ございます。キリリ。



集水神あつみのかみ。狭間の守神は、やしろから出られないのでは。」


ジト目で、早稲神。


「そうなの?」


「では、大社おおやしろでの」


「イタタッ。急にサシコミが。」



はい、嘘です。『しゃく』とか『差し込み』を理由にするなら、顳顬こめかみでは無く、胸か腹を抑えましょう。



「・・・・・・社で御休みください。」


イロイロすっ飛ばし、ニコリ。


「ありがとう。」


早稲神に促され、集水神。とっても嬉しそう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ