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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
752/1584

8-236 春よ来い


耶万社やまのやしろの継ぐ子たちは生き残るため、大倉と大稲に分かれる。


大倉に逃げた子を纏めたのは、継ぐ子ザク。支えたのはリキ。大稲に逃げた子を纏めたのはダイ、支えたのはヤヤ。


大倉と大稲は離れているが、結んでいるので話し合えた。生き残った継ぐ子には、祝の力が有ったから。無ければ戦場いくさばに放り込まれ、死んでいた。




「良かったね、アコ。」


「ありがとう、ザク。」


「ねぇ、私たちにも見える?」


「リキ、蛇がコワイって。」


「アコの蛇なら、ちっとも怖くないヨ。」



キャッキャ、うふふ。



アコを含め五人とも、祝の力を出せなかった。いや、父母が隠したのだ。


ザクには心の声が聞こえ、伝える力。リキには清め、ダイには癒し、ヤヤには守りの力。目覚めたのは、大祓おおはらえのち



アコの力が目覚めたのは、耶万やまの外で死にかけた時。ザクたちの力も強いが、アコほど強くない。闇の力とは、そういうモノ。


恐れられる事が多いが、アコにはてるいている。ザクたちも居る。闇に溺れる事も、乗っ取られる事も無い。




「早く春、来ないかな。」


「ダイ、寒がりだモンね。」


「ヤヤだって。」



春になったら耶万に戻る。


アコは社の司、ザクは禰宜ねぎ。ダイは祝人頭はふりとがしら、リキは祝女頭はふりめがしら、ヤヤは育て。他の子は祝人、祝女として支える。



大王おおきみ大臣おおおみおみめかんなぎおかんなぎの好きにさせない。やしろが国を見張る。歪んでいるコトを受け入れて、争いのない国にするんだ。



釜戸山と同じようには、出来ないだろうな。けど良那らな、浅木、岸多きしたのようには出来る。『見た者、聞いた者、証』をキッチリ調べて、懲らしめるんだ。


犯した罪、その行いによって、受ける罰を変える。決して逃がさない、繰り返させない。






オレは水手かこから王に、耶万の大王になったんだ。偉いんだぞ。なのにオカシイ、思い通りにならない。



「スイ。シッカリしろ、スイ。」


ユサユサ、ユサユサ。


「なぁロロ。コイツに何か、乗り移ったのかな。」


「怖いコト言うなよ、キキ。」



どこに有る、どこに隠した。アレはオレのだ、オレのつるぎだ。王に差し出された宝だ。なのにオカシイどこだ、持って来い。



耶万神やまのかみ。あの男、そろそろ。」


「イケナイよ、マノ。人に任せよう。」



溢れた闇は清められ、ピッカピカ。なのにスイの周りにだけ、闇がウゴウゴしている。とても気持ち悪い。



「それにね、春になれば戻る。」


「はい。あの子たち、大きくなったでしょうね。」



たくさん食べてグッスリ眠って、しっかり学んで帰ってくる。楽しみだな。



「雪が解けたら手始めに、耶万を肥やそうと思う。」


御目をキラキラ輝かせ、耶万神。


「それは良い。きっと皆、喜びます。」


使わしめマノ、ニッコニコ。


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