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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
741/1587

8-225 居た!


集水社あつみのやしろは集山の真中まなか、集水湖の底にある。沢から流れ込む水が集まって出来た、天然のダム湖に。何も、沈んだのでは無い。


集山あつやま古来こらいより、御神体ごしんたいとされている。つまり、人の手が入っていないのだ。やしろは有って、無いようなモノ。



集水神あつみのかみ良那社らなのやしろより使いが。」


コンと、飛んで参りました。


「して。」


ニッコリと、集水神。


御山おやまに、闇を放つ許しをと。」


使わしめさわ、キラキラ。


「フム、通せ。」


「ハッ。」



ここは水底みなそこ、妖狐でもツライ。分かってますよ、息が出来るって。それでも何となく、ブクブクしそうで。


湖だってね、かめふちからのぞくような感じでコワイんです。切り立った崖を、滑らないようにソロソロ下って。あぁ、思い出しただけで涙が。


お願い、早くして。尾を抱いて怯える狐の身になって、お考えください。ね、恐ろしいでしょ?



「スオさま、お待たせしました。こちらへ。」


爽の後ろを、搔きながら付いてゆく。



四つ足で、上がったり下がったり。あぶくの中に入っているのでフワフワする。狐だって、その気になれば泳げます。上手うまいよ。狐だけど、犬泳ぎ。






「良那神の使わしめ、スオ。集山に闇を放つ許しをいただきたく、参りました。」


「闇の力を持つ祝を、良那に迎えたのか。」


「いいえ。耶万やまから継ぐ子を一人、預かっております。」


「耶万。」



戦好きで、多くの国を滅ぼした。蛇谷を滅ぼしたのも耶万。耶万の祝には確か、清めの力が。けれど、闇の力は無かったハズ。



「その継ぐ子、耶万の子か。」


「はい。前の耶万王と蛇谷の祝、ひかるとの間に生まれました。名をアコ、の子です。」



なんと恐ろしい。祝を奪い、はらませたのか。蛇谷は強いが、中から仕掛ければ。


・・・・・・そうか。耶万は蛇谷を滅ぼすため、騙し偽り祝を。



「アコはナゼ、この山に闇を。」


良那らなの子が二人、御山に迷い込んだと思われます。他は国守、オトが調べました。」



迷い子? 良那から集山まで、遠く離れている。子の足では。いや、そりなら。



「山に闇を放つ事、許そう。」


「ありがとうございます。」



獣の多くは冬籠ふゆごもり。やまいぬが三匹うろついているが、人を襲う事は無い。






「戻ったぞ、アコ。御許しが出た。」


アコは急ぎ、闇を放つ。集山を包むように。


「見つけた、生きている。」


アコが急ぎ、闇の力で伝える。


「オトさま、そのまま進んでください。その先に居ます。」


目を凝らすと見えた。壊れた橇の横で、抱き合う兄弟の姿が。


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