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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
735/1585

8-219 いざ、参る


大祓おおはらえで清められても生き残った、新しい妖怪を探す。祝の力を生まれ持ち、妖怪になった者。失った力の代わりに、闇を得た妖怪。


大貝山の統べる地で生まれたのだ。しづめ西国にしくに、中の西国、真中まなか七国ななくにを合わせれば百。いや、千は生まれたハズだ。



「申し上げます。中の西国、全て調べました。」


ワクワク。


「妖怪となり、闇の力を宿した元、人は。」


ドキドキ。


「一妖も見つかりませんでした。」


・・・・・・エッ。



「申し上げます。鎮の西国に出来た妖怪の国より、使いが参りました。」


使い兎、モフッ。


「何と。」


会いたい? 会わないよ。


「御目通りを、と。」


イヤです。



お預けを食らっても雪遊びが諦められない稻羽いなばは、ふと考えた。大祓で悪しき妖怪は消えたハズ。新たな妖怪が生まれないホドの大祓、生き抜いたとすればソレは。


いや無い。妖怪の国が出来てから大社おおやしろに来るまで、幾ら何でも早すぎる。耐えたのではない、逃れたのだ。


国を建てたのは昨日きのう今日きょうでは無い。ずっと前。狙いは何だ、誰が来た王か。それは無い。だとすればおみ大臣おおおみ



大国主神おおくにぬしのかみよろしいでしょうか。」


「許す。」



スックと立ち上がり、前足を重ねた。赤目を光らせ前歯をキラリ。うさチャンの本気、見せてヤル。


行動は敏捷びんしょう・活発、繁殖力はすこぶる大。肉は食用、毛は筆に。無駄がナイのが自慢デスって、それは良い。



「その使いは、王の何だ。」


思い人なら勝てる。こちらには、強い御方が。


「大臣だと。」


ホウホウ、そうですか。


「では私が。」


使わしめ筆頭、稻羽。キリッ。



毛皮を剥がされ、岩の上で泣いていた兎が輝いている。強くなったね、稻羽。私は嬉しい。良い使わしめを持った。ウルウル。後は任せるヨ。



「いざ、参る。」


ピョン!






「大社、使わしめ稻羽。」


ひょうの大臣、むね。王の名代として、参りました。」



ぬらりだけでは無い。瓢の上層部には、大陸妖怪の血が流れている。弱小ゆえ海を渡り、ひっそりと暮らしていた。それを食らったのが、人と妖怪の合いの子たち。



生き残ったのは運。多くはバケモノと同化した、アンナとマリィがペロリ。響灘ひびきなだを越え、中の西国へ渡ったので助かった。



恐ろしくなり一度ひとたび、やまとを離れた。頃合いを見て戻り、驚く。濃い闇がアチコチから噴き出していたから。


それら全てを取り込めば、国だって。




「それで瓢は人を、どのように。」


「攫ったり虐げたり、食らう気は御座ございません。」


「瓢に、人を住まわせると。」


「いえいえ。そのような事、有り得ません。」


スッと、鯰の目から光が消える。


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