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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
732/1642

8-216 私だけを愛して


ナニどうなってるの。ココから出してよ、出しなさい。何も聞こえない分からない。真っ暗で狭くて苦しくて、いや嫌イヤ!


こんなハズじゃ無かった。人と同じように生まれて、美味おいしい物をいっぱい食べてスクスク育って。それで、それで・・・・・・。なのに、なのにぃぃ!


出せ出せ出せぇ。ココから今すぐ、出しやがれぇぇ。




「わぁぁ、まだ暴れてるよ。」


「クベさん、痛くない?」


「痛くないよ。ありがとう、イイ。」


優しく撫でられ、ニッコリ。




触りたくないなぁ。そうだ、かめごと清めよう。一つづつ清めるより、きっと良い。そうだ、そうだ、そうしよう。


はい、ゴメンサナイ。一つづつ清めます。お願いツサさま、そんな目で見ないで。私が悪う御座いました。だから、ね。



「では、始めます。」


加津の祝サハ。いっき、まぁす。テイッ。






「ギャァァァァァァァァァ。」


熱い。熱い熱い、熱い!



なにコレ痛い、ヒリヒリする。苦しい助けて、お願い。誰か助けて、助けてよ。


ナンデこんな思い、しなきゃイケナイの。アタシは四姫よつひめ、皆に望まれて国守になったアキよ。誇り高き万十まとの血を引く、腰麻こしまの美しい姫。なのに、なのにナゼ。


母親が側女そばめだから? そんなのオカシイ。


正妃むかいめも同じ万十の生まれ。アッチは万十の大王おおきみ従姉いとこで、コッチはおみの娘だけどさ。ソレが何だってのよ!



「ギャァァァァァァァァァ。」


熱い。熱い熱い、熱いぃぃ。



なんだコリャ、ヒリヒリする。痛い苦しい、息が出来ない。誰か助けろ、今すぐ助けろ。


ナンデこんな思い、しなきゃイケナイのよ。アタシは腰麻の四姫。望まれて国守になったのに、ナニこの扱い。殺されたいの、死にたいの。何とか言いなさいヨ!


信じられない。万十から捨てられたからって、見捨てる事ナイじゃない。助けてよ。認めてよ、受け入れてよぉぉぉぉぉ。



「ギャァァァァァァァァァ。」


熱い。熱い熱い、熱い!



なにコレ、痛いんだけど。ヒリヒリするんだけどぉぉ。息が出来ない苦しい痛い。のどが焼ける、アチコチ痛い。誰でも良いから、助けてよ!


ナンデこんな思い、しなきゃイケナイの。アタシは腰麻の四姫、アキよ。死んで妖怪になって、望まれて国守になったのに、なんで。


褒めてよ認めてよ、受け入れてよ。優しく撫でて、ギュッと抱きしめてよぉぉ。




「アタシヲ、ミテ。」


「アタシダケヲ、ミテ。」


「ツヨク、ダキシメテ。」



兄さんは凄いよ、それは認める。でもユイは大した事ない。ユズだって同じ、大した事ない。なのにナゼ比べるの。


ユイなんて嫌い、大っ嫌い。ユズも嫌い。だから死んだ時、すごく嬉しかった。嬉しかったのに!



おかしいオカシイおかしい。そんな目で見ないで、悪く言わないで。オカシイおかしいオカシイ。


腹空なかすいた。もっともっと、ちょうだい。足りないタリナイ足りない、全て寄越せ! 食わせろ。食わせろぉぉ。


お願い。誰か、私だけを愛して・・・・・・。


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