8-207 得物もイロイロ
「ごめんください。」
加津神の使わしめ、ロロ。飛んできました、鳶なので。
「はい、ただいま。」
土がカサカサ、急いで駆け付ける。
「これはロロさま、お久しぶりです。」
「お久しぶりです、土さま。」
わぁ、この感じ。悪い知らせだネ。
加津で何か有った? 落ち着いてるから違うな。ってコトは、国守が何か見つけたか気付いた。そうでしょ、アタリかな。
・・・・・・アタリました。
イケナイよ。なにソレ、大事じゃん! わぁ困った。どうするの、どうしよう。もう、何なのさ。
「良く知らせてくれた。ありがとう。」
大貝神、ニッコリ。
「はい。では、これにて。」
ロロが平伏し、下がった。
「土、急ぎ。」
「はい。腰麻へ行き、闇を刈って参ります。」
シュタタタタァァ。
「お待ちください、土さま。」
「ん?」
「加津の国守、ミカです。」
妖怪の国守が、スッと近づきニッコリ。
「大石の国守、クベです。」
「千砂の国守、モトです。」
腰麻の近くに集まっていた。三妖の側にはロロ、大石神の使わしめバウ、会岐神の使わしめクゥ。
「な、何が。」
土でなくても驚きます。闇でバッチリ、武装してマスから。つまり今の腰麻は、『厳戒を要する』という事。
「もうすぐ、妖怪の子が生まれます。人と妖怪の合いの子ですが、他の子とは大違い。」
「ミカには確か、闇を伸ばして調べる力が。」
「はい、御座います。」
あれ、アレレ。闇を植えられた娘が腰麻に居るって。助けられないから、産ませるって。エッ、思い違い?
「土さま。生まれてくる妖怪は、ユキ一妖では殺せません。」
そうなの?
「生まれたら直ぐ、親から引き離す。皆、知っています。けれど『産めば死ぬ』という事は、誰にも知らせていません。」
えっ、そうなの?
「胎の子は賢く、耳が良い。誰が誰と、いつ何を話したのか。なんてコトまで。」
エエッ、そうなの?
「他と違う子を孕んだのは、三人と聞く。」
頭を抱えながら、土。
「はい、その通りです。生まれたら直ぐ闇で縛り、妖怪の祝ユキが、コチラへ。」
涼しい顔をして、ミカ。
「どうすれば殺せるのか、全く分かりません。なので先ず、私の闇で包みます。」
風呂敷のよう広げて、スッポリ。
「それから、私の闇で貫きます。」
モトは守りながら戦えないが、一撃必殺。帯状の闇の縁を鋸歯に変え、ゴムのように伸ばして刺す。
戻す時に大きさを変え、対象を真っ二つ。




